MOONLIGHT AND SHADOWS

#ハワイアン

MOONLIGHT AND SHADOWS - 楽譜サンプル

本作は、作曲フレデリック・ホランダー、作詞レオ・ロビンによる英語のポピュラー・ソング。1936年公開の映画『The Jungle Princess』でドロシー・ラモアが歌い知られた。出版や初録音の詳細は情報不明だが、映画起源の魅力的なバラードとして注目を集めた。

歌詞は“月光”と“影”の対比を軸に、恋のときめきと揺らぎを繊細に描く。光の安らぎと影の不安や誘惑が交錯し、官能的でありながら上品。比喩が多く、異国情緒の風景描写が聴き手の想像力を喚起するのが特徴だ。

時代はハリウッドが“エキゾチック”を好んだ1930年代。ドイツ出身のホランダーは亡命後に米国で活躍し、洗練された和声感を持ち込んだ。ロビンの流麗な言葉運びと結び付き、スタジオ編曲の美学と相まって、耳に残る都会的バラードが生まれた。

映画ではドロシー・ラモアの歌唱が象徴的な場面を彩った。その後、同時代のバンドや歌手による録音が複数残るが、網羅的なディスコグラフィは情報不明。ほかの映画・ドラマ・CMでの二次使用についても詳細は情報不明。

現在は、ゴールデン・エイジ映画音楽やヴィンテージ・ポップ再評価の流れで言及されることがある。熱帯的ムードと都会的洗練の両立はラウンジ的嗜好にも親和的で、往年のスター歌唱の魅力を再確認させる楽曲として受け止められている。

映画発の甘美なラブ・ソングとして、MOONLIGHT AND SHADOWSは月光と影のイメージで恋の機微を描く。確かな出典を押さえつつ、録音史など不明点も明記し、作品の要点を簡潔に理解できる一曲だ。