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Just You, Just Me

  • 作曲: GREER JESSE, KLAGES RAYMOND W
#スタンダードジャズ
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Just You, Just Me - 楽譜サンプル

Just You, Just Me|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Just You, Just Meは、作曲Jesse Greer、作詞Raymond W. Klagesによる1929年の楽曲。映画『Marianne』(1929)で発表され、その後、歌と器楽の双方で広く演奏されるジャズ・スタンダードとして定着した。形式はAABAの32小節で、親しみやすい旋律と明快なハーモニーが特徴。テンポはバラードからミディアム、アップまで幅広く、ヴォーカル曲としての表情と、器楽曲としてのアドリブ余地を兼ね備える。出版・録音を通じてダンス・バンドやスウィングのレパートリーに浸透し、今日までセッションの定番として愛奏されている。

音楽的特徴と演奏スタイル

Aセクションはシンプルで口ずさみやすい旋律に、II–V進行を中心とした機能和声が配され、アドリブへの導入が自然。B(ブリッジ)では転調感と緊張の高まりが生まれ、終盤で主調へと解決するドラマがある。コンピングは4ビートのスウィングを基調に、シンコペーションやリズム・ヒットを織り交ぜると映える。ビバップ以降はトライトーン・サブや上行/下行のクロマチック・アプローチでラインを発展させるアプローチが一般的。なお、Thelonious MonkのEvidenceは本曲のコード進行を素材としたコントラファクトとして知られ、ハーモニーの汎用性を示す好例である。

歴史的背景

トーキー黎明期のハリウッドでは、映画由来の楽曲が大衆歌として急速に広まり、ラジオ放送とレコード市場が普及を後押しした。本曲もその流れの中で注目を集め、1930年代のダンス・バンドやスウィング・オーケストラに取り上げられ、戦後はビバップ/ハードバップ勢にも継承。映画発のポピュラー曲がジャズ標準曲として長期的に生き残る典型例の一つとなった。

有名な演奏・録音

Nat King Cole Trioによるスウィンギーな録音は、ヴォーカル/ピアノ・トリオ双方の魅力を伝える定番として知られる。テナー・サックスのLester YoungはOscar Peterson Trioとの共演で、流麗なラインと軽やかなタイム感を示し、曲のエレガンスを強調した。また、Thelonious MonkのEvidence(本曲のコード進行を基にした別曲)は、モダン・ジャズ期における理論的発展と創造的再解釈を象徴する存在である。これらを含め、多数の歌手・器楽奏者が録音を残している。

現代における評価と影響

セッション現場ではキー設定やテンポの解釈が演者により多彩で、アドリブ練習曲としても重宝される。メロディの普遍性とハーモニーの器用さが共存し、入門者から上級者まで学びを得られる教材曲としての価値が高い。ヴォーカル曲としても歌詞の親密なムードが支持され、コンサートや配信プラットフォームでの新録が継続。映画発の名曲が時代を越えて更新され続ける、ジャズ・スタンダードの生命力を体現している。

まとめ

映画由来の大衆歌からジャズ標準曲へと昇華したJust You, Just Meは、AABAの明快な設計と柔軟なコード進行により、歌と即興の双方を引き立てる稀有なレパートリーである。名演は数多く、学習曲としても演奏曲としても価値が高い。発祥と現代が自然に接続される、長寿命のスタンダードと言える。