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Parapluies De Cherbourg, Les I Will Wait For You (シェルブールの雨傘)
- 作曲: LEGRAND MICHEL JEAN

Parapluies De Cherbourg, Les I Will Wait For You (シェルブールの雨傘) - 楽譜サンプル
「Parapluies De Cherbourg, Les I Will Wait For You (シェルブールの雨傘)|作品の特徴と歴史」
基本情報
1964年公開のフランス映画『シェルブールの雨傘』の主題曲。作曲はミシェル・ルグラン、仏語詞はジャック・ドゥミ、英語詞はノーマン・ギンベル。日本では「アイ・ウィル・ウェイト・フォー・ユー」としても広く知られる。映画は全編が歌で綴られるミュージカルで、本曲は恋人たちの別れと再会を象徴する主要主題。のちに単独曲として定着し、歌唱版とインストゥルメンタルの双方で親しまれている。
音楽的特徴と表現
哀感を帯びた印象的な旋律と、レグラン特有の豊かな和声が核。ストリングスと木管を中心に、繊細な色彩感で感情の起伏を描く。ジャズ由来のテンションや柔らかな転調が用いられ、叙情が過度に甘くならない。劇中では同一主題が場面によりテンポや伴奏を変えて何度も再提示され、会話のような自然なフレージングで心理を語る。単独演奏ではバラード解釈のほか、スウィングやボサノヴァ風に編曲される例も多い。
歴史的背景
戦後フランス映画の新機軸として、台詞をほぼすべて歌に置き換えた本作において、音楽は物語そのものを運ぶ装置となった。映画は1964年のカンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞。本曲は英語版の普及とともに国際的に知られ、1966年のアカデミー賞歌曲賞にノミネートされている。
使用された映画・舞台(該当時)
映画『Les Parapluies de Cherbourg』の中心主題として全編に織り込まれ、別離の場面や再会の場面で形を変えて回帰する。オープニングからエンドクレジットに至るまで動機が導入・展開・再現され、劇伴でありながら独立した歌としても機能する。舞台版など他媒体での使用状況は情報不明。
現代における評価と影響
映画音楽、シャンソン、ジャズを架橋する名曲として、世界各地の歌手やジャズ・オーケストラに取り上げられ続けている。旋律の普遍性と和声の懐の深さがアレンジの自由度を生み、バラード、室内楽的アプローチ、ビッグバンドなど多様な解釈が成立。映像文脈では「待つ」という主題を象徴する音として引用されることが多く、ルグランの代表作として音楽教育や研究でも頻繁に言及される。
まとめ
叙情的な旋律美とドラマ構成の巧みさを兼ね備えた、映画史とポピュラー音楽史をつなぐ一曲。『シェルブールの雨傘』の核心を成しつつ、時代と国境を越えて演奏され続けるスタンダードである。