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Ko Ko

  • 作曲: PARKER CHARLES CHRISTOPHER JR
#スタンダードジャズ
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Ko Ko - 楽譜サンプル

Ko Ko|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Ko Ko」はPARKER CHARLES CHRISTOPHER JR(チャーリー・パーカー)作曲のインストゥルメンタル。1945年、サヴォイ・レコードに初録音され、ビバップを象徴する重要作として広く認知されている。形式はAABAの64小節で、レイ・ノーブル作「Cherokee」のコード進行に新たな旋律を乗せたコントラファクト。正式な邦題や歌詞は存在せず、器楽曲として継承される。

音楽的特徴と演奏スタイル

超高速テンポ、複雑なコード・ボイスリーディング、拍節を跨ぐ長いラインが核となる。短いファンファーレ風イントロとアウトロ、極小化されたヘッド、そして即興の比重の高さが特徴的だ。アルト・サックスの切れ味鋭いアーティキュレーション、クロマチックな接近音、上方転回を伴うフレージングは、後続のビバップ語法の範型となり、緊張感と推進力を兼備する。

歴史的背景

1940年代前半、ミントンズ・プレイハウス周辺で醸成された新語法が、録音解禁後に一気に可視化された。その中心人物がパーカーであり、「Ko Ko」の商業録音はビバップの到達点を示す資料価値を持つ。なお、同名のデューク・エリントン作品「Ko-Ko」(1940)とは無関係で、編成・語法ともに別物である点はしばしば強調されるべき相違である。

有名な演奏・録音

決定的名演は1945年ニューヨークでのサヴォイ録音。主題提示からソロ、エンディングまで一気呵成の構成で、パーカーの飛翔するラインは後続世代の必修教材となった。セッションの細部(参加者の一部パート担当やテイク順)には文献間で異同があり、確定しない事項は情報不明とされる。再発盤ではオルタネイト・テイクが併載され、分析の素材が充実した。

現代における評価と影響

本作は「チェロキー進行」上のライン構築と、極端に高いテンポ設定における内容密度の両立を示した模範例として、音楽教育と研究の双方で重視される。コントラファクト手法の創造的可能性を開示し、ハーモニー運動と旋律設計の関係を学ぶ格好の教材でもある。多くのバンドがレパートリーに加える一方、安易な再現を許さない技術的・音楽的要求水準は現在も高い評価を保つ。

まとめ

「Ko Ko」は、既存進行の再文脈化を極限の速度で体現し、ビバップの美学を凝縮した金字塔である。録音史的意義、語法の革新性、教育的価値のいずれの観点からも示唆に富み、研究と演奏の両面で参照され続ける。ジャズ史の転換点を知るうえで、最初に聴くべき必修トラックと言えるだろう。