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Lazy Afternoon
- 作曲: MOROSS JEROME

Lazy Afternoon - 楽譜サンプル
Lazy Afternoon|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Lazy Afternoonは、作曲Jerome Moross(ジェローム・モロス)、作詞John Latoucheによる楽曲。1954年初演のブロードウェイ・ミュージカル「The Golden Apple」から生まれたバラードで、その後ジャズ・シンガーや器楽奏者に広く取り上げられ、ショー・チューン由来のジャズ・スタンダードとして定着した。日本語題は特に定まらず原題で流通。歌詞は英語で、うっとりとした昼下がりの情景を描く。
音楽的特徴と演奏スタイル
緩やかなテンポと長い旋律線、柔らかな和声進行が特徴。ルバートの導入やたっぷりした間合いを生かす解釈が好まれ、声の表現力やブレスコントロールが試される。ジャズではボーカル+ピアノ(またはギター)のデュオや、ピアノ・トリオを伴うスロー・バラードで演奏されることが多い。リハーモナイズやボサノヴァ風処理などの再解釈も見られるが、過度なテンポアップは曲想を損ねやすい。
歴史的背景
The Golden Appleはギリシャ神話を20世紀初頭のアメリカに置き換えた意欲作として語られる。Morossは後年、映画音楽でも名を馳せ、舞台とスクリーンの語法を往復した作曲家である。本曲はミュージカルの一曲として誕生し、舞台の枠を越えてスタンダード・レパートリーに取り込まれた。劇中の具体的な場面や初演時の歌唱担当など細部は資料差があり、詳細は情報不明。
有名な演奏・録音
初演後、数多くの歌手とジャズ奏者が録音し、バラード・アルバムの重要曲として扱われてきた。繊細な伴奏と呼吸の合致が求められるため、ボーカル作品としての評価が高い一方、器楽曲としてもしっとりとした歌心を引き出す。代表的なバージョンの特定や決定的名演の序列は資料により異なり、国や時期で入手性も変動するため、ここでは特定を避ける。個別録音の年次やレーベルなどは情報不明。
現代における評価と影響
Lazy Afternoonは、スロー・バラードにおける間(スペース)の使い方、ダイナミクス、発音の精度を学べる教材曲としても注目される。歌詞の情景が明瞭で、訳詞や対訳付きのステージにも適し、クロスオーバー編成にも馴染む柔軟性を持つ。ポピュラーとジャズの橋渡しをする楽曲として、ライブ・レパートリーや録音で今なお継続的に取り上げられている。
まとめ
ミュージカル発の美しいバラードがジャズ・スタンダードへと発展した典型例がLazy Afternoonである。ジェローム・モロスの抒情性と構成美は、時代や編成を超えて演者の表現力を引き出す力を持つ。出自や録音史の一部に情報不明な点は残るものの、穏やかな午後の空気感を音楽化した本曲は、今後も歌い継がれ、演奏され続けるだろう。