TA-HU-WA-HU-WAI
- 作曲: LELEIOHOKU

TA-HU-WA-HU-WAI - 楽譜サンプル
TA-HU-WA-HU-WAI|歌詞の意味と歴史
基本情報
TA-HU-WA-HU-WAIは、しばしば「Hawaiian War Chant(ハワイアン・ウォー・チャント)」として知られる楽曲で、原曲はハワイ語の「Kāua i ka Huahua‘i」。作曲者はハワイ王族のLELEIOHOKU(レレイオホク二世)で、19世紀に生まれた作品とされる。のちに米本土のポピュラー音楽として広まり、1930年代に英語圏で普及した際には、編曲者Johnny Noble、英語詞Ralph Freedの名がしばしば併記される。タイトルに含まれる“Ta-Hu-Wa-Hu-Wai”は英語版で広まったスキャット的な掛け声で、原曲のハワイ語歌詞にそのまま対応する語ではない。
歌詞のテーマと意味
原題「Kāua i ka Huahua‘i」は直訳で「泡立つ水(泉・湧水)にいる私たち二人」といった情景を想起させ、実際にこの歌は恋愛感情や親密さを描く恋歌として知られる。つまり“War Chant(戦いの詠唱)”という英語の通称は、原曲の意味合いとは一致しない。英語版ではテンポが速く、コーラスに“Ta-Hu-Wa-Hu-Wai”といった音節が配され、エネルギッシュな祝祭感が強調されたため、イメージが独り歩きしやすかった。なお、具体的な歌詞の逐語訳や全文は著作権と出典の関係上ここでは割愛する。
歴史的背景
LELEIOHOKUはハワイ王国時代の文化サークルで活躍した作曲家であり、フラと深く結びついたメレ(歌)の伝統を近代に橋渡しした人物の一人。19世紀の宮廷文化の中で生まれた原曲は、20世紀初頭の観光産業の発展やレコード市場の拡大を経て、米本土でも受容が進んだ。1930年代にはビッグバンド文脈で再編曲され、ダンスホールやラジオで人気を得る。こうした過程で、楽曲は“恋歌”から“躍動的なショーナンバー”へと性格を変え、名称も「Hawaiian War Chant」が通り名として定着した。
有名な演奏・映画での使用
代表的な録音として、Tommy Dorsey and His Orchestraによる演奏が広く知られ、スウィング時代の華やかなサウンドで人気を博した。また、Spike Jonesによるコミカルなアレンジも有名で、同曲の“ショー向け”イメージを決定づけた一例といえる。映画での具体的な使用作品名は情報不明だが、20世紀中盤のショー、ラジオ、テレビなど多様な媒体で取り上げられ、アメリカの大衆文化の中で繰り返し消費・再解釈されてきた。
現代における評価と影響
今日では、原曲「Kāua i ka Huahua‘i」が恋歌である事実が広く再認識され、ハワイの文化的文脈や言語の尊重とともに演奏される機会が増えている。一方で、英語版のダンサブルな魅力は根強く、ビッグバンドやエキゾチカ、レトロなショーの定番ナンバーとして今もプログラムに残る。教育的には、曲名の変遷が“翻案による意味の転位”の典型例として参照され、異文化受容のあり方を考える素材にもなっている。
まとめ
TA-HU-WA-HU-WAIは、LELEIOHOKUによるハワイ語の恋歌が、米本土での再編曲を経てショーアップされたポップソングへと姿を変えた希有な事例である。原曲と英語版の両面を理解することで、楽曲の本質と歴史的受容のギャップが立体的に見えてくるだろう。情報源が限られる点はあるものの、文化的背景を踏まえた演奏・鑑賞が現在の評価を押し上げている。