After All
- 作曲: JARREAU ALWIN L,GRAYDON JAY,FOSTER DAVID WALTER

After All - 楽譜サンプル
After All|歌詞の意味と歴史
基本情報
After Allは、アル・ジャロウが歌ったバラードで、作曲はAl Jarreau(JARREAU ALWIN L)、ジェイ・グレイドン、デヴィッド・フォスターの三者による。1984年発表のアルバム「High Crime」に収録されたスタジオ音源が広く知られている。サウンドはエレクトリック・ピアノとレイヤード・コーラスを核に、洗練されたコード進行と滑らかなグルーヴを備えたAOR/アダルト・コンテンポラリー系のポップソングで、ジャロウ特有の柔軟なフレージングが要所を彩る。
歌詞のテーマと意味
タイトルの“After All”(結局のところ/いろいろあっても)という言葉が示す通り、曲は関係の揺らぎや誤解を経たのちに再確認される愛情を主題にする。自己省察と相手への誠実さ、互いの弱さを受け入れる成熟した視点が核で、ドラマティックな高揚よりも、確かな信頼に落ち着く心理プロセスを丁寧に描く。直接的な断定ではなく、穏やかな言い回しと余白の多いフレーズで感情のニュアンスを伝えるため、聴き手の個人的体験に寄り添う普遍性を持つ。歌詞全文はここでは扱わない。
歴史的背景
1980年代前半の米西海岸(ウェストコースト)系サウンドは、高度な作編曲とスタジオ・ミュージシャンの精妙な演奏で支持を広げた。ジェイ・グレイドンとデヴィッド・フォスターはその中核的存在で、ポップとジャズの語法を滑らかに接合する手腕で知られる。アル・ジャロウはジャズ~フュージョン由来の表現力を保ちながらメインストリームへ歩を進めた時期で、本曲は彼のクロスオーバー路線を象徴する一編として位置づけられる。
有名な演奏・映画での使用
商業作品での映画・ドラマ使用に関する確実な資料は情報不明。広く参照されるのはアルバム「High Crime」に収められたスタジオ版である。カバー録音や特筆すべき別ヴァージョンに関しても網羅的な公開情報は情報不明で、特定のライヴ・テイクが決定版として広く認知されているという事実も情報不明である。
現代における評価と影響
After Allは、80年代AORの美点—透明感のあるキーボード、密度の高いコーラス、洗練されたハーモニー—をコンパクトに体現する作品として再評価されている。派手さよりもメロディの説得力とヴォーカルの語り口に重心を置くため、スムース・リスニングやアダルト・コンテンポラリーの文脈でも受容されやすい。歌唱面では、ダイナミクスとブレスの配分、語尾のニュアンス作りが参考例として挙げられることが多い。
まとめ
作曲陣ジャロウ/グレイドン/フォスターの協業により、After Allは洗練と温かみを併せ持つバラードとして結実した。揺らぎを経て愛を見つめ直すという普遍的なテーマ、丁寧に設計された和声とアレンジは、時代を超えて価値を保ち続ける。映画使用やカバーの決定的資料は情報不明だが、スタジオ版は80年代AORの手触りを学ぶ上での好例と言える。