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Mambo Inn

  • 作曲: BAUZA MARIO, SAMPSON GRACE, WOODLEN GEORGE ROBERT
#スタンダードジャズ#ラテン
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Mambo Inn - 楽譜サンプル

Mambo Inn|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Mambo Innは、BAUZA MARIO、SAMPSON GRACE、WOODLEN GEORGE ROBERTによる共作として知られるラテン・ジャズの定番曲。タイトルが示す通りマムボの語法に根差し、ジャズのコンボやビッグバンドで広く取り上げられてきた。初出年は情報不明。楽曲は主にインストゥルメンタルとして演奏され、歌詞の公式な有無は情報不明だが、一般的な演奏では器楽曲として扱われることが多い。セッションや学生バンドのレパートリーとしても定着し、ラテンのリズム訓練に適した曲として位置づけられている。

音楽的特徴と演奏スタイル

核となるのはマムボのグルーヴで、アフロ・キューバンのクラーベ(2–3または3–2)を基盤に、コンガ、ボンゴ、ティンバレス、ウッドブロックなどが織りなす推進力が特徴。ベースはタンバオの反復型、ピアノはモントゥーノの分散和音やリフで伴奏し、ホーンはアンティフォニー(コール&レスポンス)やシンコペーションの効いたユニゾン・リフで躍動感を作る。形式はリフ主体のセクションとソロ・コーラスの交替が基本で、アドリブではブルーノートやミクソリディアンを含む実践的な音使いが映える。テンポはミディアムからアップ・テンポまで幅広く、編成に応じてブレイク、ストップタイム、シンコペ・フィギュアを挿入するアレンジも一般的である。

歴史的背景

作曲者の一人マリオ・バウサは、ニューヨークでアフロ・キューバン・ジャズを推進した要人で、ジャズとキューバ音楽の橋渡し役として知られる。1940〜50年代のマンボ・クレイズ(マムボ流行)とダンスホール文化の隆盛が、こうしたレパートリーの普及を後押しした。Mambo Innもこの文脈で広まった楽曲の一つであり、ダンス・フロアで機能する強靭なビートと、ジャズの即興言語が融合した典型例として受容された。出版年や初演の詳細は情報不明だが、バンド・スタンドと録音媒体を通じて国際的に拡散した。

有名な演奏・録音

ギターのGrant Greenによるアルバム「The Latin Bit」(1962)での演奏は、ハードバップとラテンの折衷として広く参照される。ほかにも、ラテン・ジャズ系コンボやビッグバンドによる録音が複数存在し、教育用アレンジ集やラテン・スタンダード集に採録されることもある。個々の録音年・編成の詳細は情報不明だが、各バンドが自国のリズム・セクションに合わせたオーケストレーションを施し、ホーン・リフやモントゥーノの設計で個性を競っている点が聴きどころである。

現代における評価と影響

Mambo Innは、ラテン・ジャズ入門から実践まで幅広く活用されるスタンダードであり、クラーベ理解、シンコペーションの精度、ホーン・リフの合奏力を鍛える教材として評価が高い。セッション現場では、ソロイストの歌心とリズム・セクションの噛み合わせがダイレクトに表れるため、バンド全体の合奏力の指標にもなる。配信時代においても、ダンス可能なビートとジャズ的即興の両立は魅力を失わず、ライブ・クラブやフェスでの定番曲として息長く受け継がれている。

まとめ

Mambo Innは、マムボの躍動とジャズの即興性を結び付けたラテン・ジャズの要曲である。詳細な初出情報は不明ながら、教育・演奏現場での実用性と多彩なアレンジ可能性ゆえに現在も重用され、世代と地域を超えてレパートリーに定着している。