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Blue Rondo a la Turk

  • 作曲: BRUBECK DAVE
#スタンダードジャズ
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Blue Rondo a la Turk - 楽譜サンプル

Blue Rondo a la Turk|楽曲の特徴と歴史

基本情報

デイヴ・ブルーベック作曲の器楽曲。初出はDave Brubeck Quartetのアルバム「Time Out」(1959, Columbia)。ピアノ、アルトサックス、ベース、ドラムのカルテット編成で録音され、ポール・デスモンド、ユージン・ライト、ジョー・モレロが参加した。歌詞は存在せず、ジャズにおける変拍子探求を象徴する代表作の一つとして知られる。

音楽的特徴と演奏スタイル

最大の特徴は9/8拍子(2-2-2-3の分割)を基調にした主題と、4/4のスウィングへ切り替わるセクションの対比。冒頭のピアノ・オスティナートが拍節感を明確にし、ドラムは細かなシンコペーションで推進力を生む。ハーモニーはブルース語法を含みつつもモダンで、各ソロは拍の跨ぎを活かしたフレージングが肝要。アンサンブルは緊密で、アクセント配置が演奏解釈の要点となる。

歴史的背景

タイトルはモーツァルトの「Rondo alla Turca」への言及で、ブルーベックが1958年の国務省主催の海外ツアー中、トルコで耳にした民俗的なリズムから着想を得たとされる。アルバム「Time Out」は「Take Five」など拍節実験作を収め、当初は商業性を危ぶむ声もあったが、後年にかけて一般層にも広く浸透し、ジャズ史の節目として評価される。

有名な演奏・録音

初演盤は「Time Out」のスタジオ録音。以後、クァルテットの定番レパートリーとなり、ライブ盤「At Carnegie Hall」(1963)などでのアグレッシブな展開は名演として語られる。多くのジャズ・アンサンブルが取り上げ、ビッグバンドや室内楽的編成への編曲も存在。テンポ設定や9/8の分割をどう感じさせるかで個性が現れる。

現代における評価と影響

変拍子作品の入口として教育現場で頻繁に扱われ、ジャズ以外のポピュラー音楽における不規則拍の受容にも影響を与えた。ドラマーのメトリック・モジュレーション練習素材、ピアニストのポリリズム研究題材としても定番。ストリーミング時代でも再評価が進み、入門者が“奇数拍子の面白さ”を体感できる曲として推奨される。

まとめ

Blue Rondo a la Turkは、明快な動機と大胆な拍節設計を両立させた稀有な器楽曲である。9/8と4/4の往還、リズムの駆動力、洗練されたアンサンブルが、半世紀以上を経ても色褪せない魅力を放つ。出自と構造を理解して聴くことで、ジャズが開いたリズム革新の核心に触れられるだろう。