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Lover

  • 作曲: RODGERS RICHARD
#スタンダードジャズ
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Lover - 楽譜サンプル

Lover|楽曲の特徴と歴史

基本情報

『Lover』は、作曲リチャード・ロジャース、作詞ロレンツ・ハートによる1932年のポピュラー・ソング。映画『Love Me Tonight』でジネット・マクドナルドが歌い初出となった。のちにジャズ界で広く演奏され、グレイト・アメリカン・ソングブックを代表する一曲として定着している。多くの演奏で32小節の標準的ソング・フォームとして親しまれる。

音楽的特徴と演奏スタイル

旋律は推進力のある音型と広い跳躍を併せ持ち、ハーモニーは副次ドミナントや循環進行が要となるため、リハーモナイズの余地が大きい。テンポ設定の幅も広く、スウィングの快速テンポ、ラテン・フィール、しっとりしたバラードまで成立する。ビッグバンドではブラスのリフや転調でダイナミクスを描き、ギターや管のソロ・ナンバーとしても映える。

歴史的背景

1930年代初頭、ロジャース&ハートはブロードウェイと並行してハリウッド作品に楽曲を提供し、本曲もその流れで誕生した。公開直後からダンス・バンドのレパートリーに入り、スウィング時代を通じて人気を拡大。戦後には録音技術の発展とも結びつき、編曲面でも多彩な解釈が試みられるようになった。

有名な演奏・録音

代表的録音としては、映画版でのジネット・マクドナルド(1932)が原点。レス・ポールの『Lover』(1948)は多重録音とギターの超絶技巧でポップ録音史の転機となった。スタン・ケントン楽団(1951)の重厚なアレンジ、ペギー・リー(1952)のラテン風ヒット、エラ・フィッツジェラルド『Rodgers & Hart Song Book』(1956)の品格ある歌唱など、多様な名演が知られる。フランク・シナトラも1950年代に取り上げ、スウィング解釈の定番化に寄与した。

現代における評価と影響

現在も本曲はジャズ教育やセッションで頻繁に扱われ、アレンジ教材としても重宝されている。歌ものとしての強いメロディと、器楽曲としての自由度の高さが共存する点が評価の鍵である。映画や舞台での近年の具体的使用例は情報不明だが、録音・ライブ双方で演奏頻度は高く、時代を超える標準曲として生き続けている。

まとめ

『Lover』は映画発のポピュラー・ソングからジャズ・スタンダードへと発展し、編曲・演奏双方の創造力を刺激し続ける楽曲である。作曲の洗練と可塑性の高さが、数多の名演と現在の定着を支えている。