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More I See You

  • 作曲: WARREN HARRY
#スタンダードジャズ
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More I See You - 楽譜サンプル

More I See You|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「More I See You」は作曲WARREN HARRY(一般的表記:Harry Warren)による楽曲で、作詞はMack Gordon。1945年に公開されたミュージカル映画で初めて披露され、その後スタンダードとして広く歌われるようになった。原題は「The More I See You」と冠詞付きで表記されることが多いが、音源や出版物では冠詞なしの「More I See You」となる場合もある。本記事では一般的に知られる同曲を対象とし、基本情報と歴史、代表的録音、今日的な評価を整理する。

音楽的特徴と演奏スタイル

ロマンティックな旋律線とわかりやすい和声進行が核で、ジャズ/ポップ双方で親和性が高い。演奏現場では32小節のAABA形式で扱われることが多く、ii–V–Iや循環的進行を用いたアレンジが定番。テンポはバラードからミディアム・スウィングまで幅広く、ボサノヴァ化やラテン・フィールの採用もよく見られる。ヴォーカル曲としての完成度が高い一方、器楽でもメロディの歌心を活かしたリリカルなアドリブが映えるのが魅力だ。

歴史的背景

本作は第二次大戦末期から戦後にかけてのアメリカ音楽界、いわゆるティン・パン・アレー/ブロードウェイ〜映画音楽の黄金期に生まれた。映画のために書かれた楽曲がスクリーンを超えてラジオやレコードで広まり、後年ジャズ・クラブで標準曲化するという典型的な軌跡をたどっている。Harry WarrenとMack Gordonの名コンビは数多くのヒットを生み出しており、本曲もその文脈に位置づけられる。

有名な演奏・録音

公開当時の映画での披露を嚆矢として、以後は数多くの歌手とジャズ奏者が録音を残した。なかでも1966年のChris Montezによるポップ・バージョンは国際的なヒットとなり、楽曲を新たな世代へと橋渡しした例として知られる。近年ではMichael Bubléの洗練されたカヴァーも人気が高く、スウィング感と現代的な音作りの両立を示した。ほかにもビッグバンド、小編成コンボ、ソロ・ピアノまで編成は多彩で、レパートリーの幅広さがうかがえる。

現代における評価と影響

「More I See You」はジャズ・スタンダードの教材やセッション・ブックにも頻繁に収録され、初中級者のレパートリーとしても親しまれている。メロディの普遍性と歌詞のロマンティックな主題は、映画やドラマ、ウェディング・シーンにも適合し、世代を超えて消費され続ける資質を持つ。配信時代においてもプレイリスト常連曲として再発見が進み、カヴァーやリワークの土台としての価値が維持されている。

まとめ

映画発のポピュラー曲として生まれ、ジャズ・スタンダードへと定着した「More I See You」は、旋律・和声・歌詞の三位一体で永続的な魅力を放つ。AABA形式の親しみやすさと多様なアレンジ適性が、時代ごとの演奏家に再解釈を促してきた。初演から長い年月を経た今もなお、クラシックなロマンスの香りを伝える代表曲として、録音・演奏ともに更新され続けている。