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My Melancholy Baby

  • 作曲: BURNETT ERNIE
#スタンダードジャズ#ジプシージャズ
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My Melancholy Baby - 楽譜サンプル

My Melancholy Baby|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「My Melancholy Baby」は、作曲家Ernie Burnett(表記:BURNETT ERNIE)による1912年発表のポピュラー曲で、後年ジャズ・スタンダードとして定着した。作詞はGeorge A. Norton。英語詞を伴う楽曲で、恋人への慰撫と哀愁をテーマにした内容が中心。原題どおり“メランコリー”な情感を核に、シンプルかつ記憶に残る旋律が特徴とされる。出版楽譜の流通を通じて広く知られるようになり、ライブや録音のレパートリーに組み込まれていった。

音楽的特徴と演奏スタイル

演奏現場ではバラードとして歌われることが多いが、テンポを上げたスウィングでも取り上げられる。譜面は編曲により調性や前歌(verse)の有無が異なり、ボーカル版ではルバート気味のイントロからコーラスへと入る解釈が定番。素直なメロディは和声展開の差し替え(サブスティチューション)に適応し、管楽器やピアノのアドリブにも馴染む。調性や楽曲構成は版ごとに揺れがあるものの、機能和声にもとづく穏当な進行が軸となり、フレーズの呼吸感を活かした表現が映える。

歴史的背景

本曲はティン・パン・アレー期のアメリカで生まれ、第一次世界大戦前後の大衆嗜好に支えられて広まった。出版は1912年。初録音は1915年のWalter Van Bruntによるものとされ、その後、ダンスホール、ラジオ、映画の普及とともに人気を拡大した。20世紀半ばにはビッグバンドや小編成ジャズの定番レパートリーとして位置づけられ、いわゆる“古典的バラード”の代表格として継承されている。

有名な演奏・録音

録音史は長く、ボーカリストからビッグバンド、コンボまで幅広いバージョンが存在する。スウィング期のオーケストラ版、戦後のジャズ・シンガーによるバラード解釈、器楽コンボのミディアム・テンポ演奏など、多様なスタイルで親しまれてきた。特定の“決定版”は一つに絞れず、編曲や解釈の違いが魅力を生んでいる。なお、映画内での具体的な使用例については情報不明。編成に応じた転調やタッグエンディングが用いられることも多い。

現代における評価と影響

現在でもスタンダード曲集やフェイクブックに収載され、ジャズ教育やセッションで頻繁に扱われる。歌詞の情感を活かすボーカル曲としてだけでなく、和声運びが明瞭なため、若手がレガートやダイナミクス、音色コントロールを学ぶ教材としても有用。著名曲ゆえに聴衆の認知度が高く、ライブのバラード枠やアンコール曲に組み込みやすい点も評価される。録音・演奏の蓄積が豊富で、解釈の参照先が多いことも普及を支えている。

まとめ

1912年生まれの「My Melancholy Baby」は、甘く哀しい情緒と歌いやすい旋律で100年以上愛されるスタンダードである。編曲の自由度が高く、世代や編成を問わず演奏できる普遍性が、今日まで演奏家と聴衆を結び付け続けている。