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My Old Flame

  • 作曲: COSLOW SAM,JOHNSTON ARTHUR
#スタンダードジャズ
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My Old Flame - 楽譜サンプル

My Old Flame|楽曲の特徴と歴史

基本情報

My Old Flameは、Sam Coslow(詞)とArthur Johnston(曲)による楽曲。1934年公開の映画「Belle of the Nineties」で紹介され、その後ジャズ界で標準曲として定着した。歌詞は過去の恋人(“古い炎”)を想起する内容で、未練と諦観が交錯するトーチ・ソング的なニュアンスを持つ。形式はジャズで広く用いられる32小節のAABAが一般的で、バラード・テンポで演奏されることが多い。初演者や初録音の細部データは出典により差異があり、厳密な初出録音情報は情報不明。

音楽的特徴と演奏スタイル

滑らかな旋律線と節回しの余韻が魅力で、前半では順次進行が多く、Aパートの終止で情感を強める。和声はII–V進行を軸に転回し、半音階的アプローチや代理和音が活きる設計。テンポはラルゴからミディアム・バラードまで幅広いが、導入でルバート、後半でイン・タイムに入る構成が定番。ヴォーカルでは語り口を重視した間合い、インストではテナーサックスやトランペットがレガート主体で歌い上げる解釈が多い。ピアノ・トリオやギター・デュオでも機能し、弦楽アレンジにも馴染む。

歴史的背景

作詞家サム・コスローと作曲家アーサー・ジョンストンのコンビは1930年代ハリウッドで多くの楽曲を提供し、本作もその文脈で誕生した。映画由来の楽曲がポピュラーからジャズへ橋渡しされる潮流の中で、本曲はバラード・レパートリーとして受容され、クラブやダンスホール、ラジオ放送で浸透。戦前から戦後にかけてのスウィング〜ビバップ期を通じ、歌詞の普遍性とメロディの柔軟性が評価され、スタンダード化が進んだ。映画内での具体的な演奏編成の詳細は情報不明。

有名な演奏・録音

初出は映画「Belle of the Nineties」での歌唱として知られる。その後、多数のヴォーカリストと管楽器奏者がバラードの見せ場として録音・演奏し、レコーディング史に多彩な解釈が加わった。具体的な代表盤の網羅的リストや年次・レーベル情報は情報不明だが、スモール・コンボからビッグバンド、ストリングス編成まで幅広いアレンジが存在する点が特徴である。音域の扱いや間の取り方に自由度があり、アーティストの個性が反映されやすい。

現代における評価と影響

本曲は今日もジャズ教育や現場のレパートリーで取り上げられ、バラード・スタディの好例として位置づけられている。AABA構成と明快なハーモニーはアドリブ入門にも適し、同時に歌詞の陰影が解釈の幅を広げる。配信時代においても、リスナーは古典的録音と新録音を容易に比較でき、演奏解釈の進化を体感しやすい。映画発のポピュラー曲がジャズの文脈で長寿命化する典型例としての意義は大きく、スタンダード曲集の中でも再演性の高い一曲として評価される。

まとめ

My Old Flameは、映画由来の楽曲がジャズ・スタンダードへ定着した代表例であり、情緒に富む旋律と柔軟な和声が多様な解釈を可能にする。32小節AABAの端正な設計は演奏者の表現力を引き立て、聴き手には過去への静かなまなざしを喚起する。初出の細部や完全な代表録音リストは情報不明ながら、バラード・レパートリーの核としての地位は揺るがない。歌・器楽いずれにも映える名曲として、今後も演奏現場で生き続けるだろう。