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Nice 'n Easy

  • 作曲: SPENCE LEWIS LEW
#スタンダードジャズ
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Nice 'n Easy - 楽譜サンプル

Nice 'n Easy|楽曲の特徴と歴史

基本情報

『Nice ’n Easy』は、作曲ルー・スペンス(Lew Spence)、作詞アラン・バーグマンとマリリン・バーグマンによる1960年の楽曲。フランク・シナトラのアルバム『Nice ’n Easy』(Capitol, 1960)のタイトル曲として広く知られ、ネルソン・リドルの洗練されたアレンジが決定版として評価されている。ジャンルはヴォーカル・ジャズ/トラディショナル・ポップに位置づけられ、今日ではジャズ・スタンダードとして多くの歌手・奏者に演奏される。正式な初演者や初出形態の細部(シングルの発売日やチャート順位など)は情報不明。

音楽的特徴と演奏スタイル

タイトルのとおり“肩の力を抜いて”進む中庸テンポのスウィング感が核。メロディは滑らかな上行下行を繰り返し、跳躍を抑えた歌いやすい線に、軽やかなシンコペーションが会話的ニュアンスを与える。シナトラ版では、ストリングスとミュート・ブラスが柔らかいクッションを作り、リズム・セクションはドライヴし過ぎずに前進感を保つ。ヴォーカリストはレイドバックしたタイム感や語り口のようなフレージングが鍵で、ブレス位置や語尾のニュアンスで“大人の余裕”を描く。インスト演奏では、テーマの滑らかさを活かしたリリカルなアドリブ、控えめなダイナミクス設計が好相性とされる。

歴史的背景

1960年前後のシナトラは、キャピトル時代を代表する名編曲家ネルソン・リドルとともに、都会的で洒脱なサウンドを確立していた。『Nice ’n Easy』はその美学を象徴する一曲で、耳に残るフックと余裕あるスウィングがアルバム全体のムードを方向づけた。また、作詞家コンビのアラン&マリリン・バーグマンにとっても初期の重要作のひとつで、後年に至る洗練された語り口の萌芽がここに見て取れる。出版年は1960年とされるが、原譜の細かな出版情報や初演の詳細については情報不明である。

有名な演奏・録音

最も広く知られるのは、フランク・シナトラの1960年録音(編曲:ネルソン・リドル)。滑らかな弦楽と気品あるブラス、そしてシナトラの遅れ気味のタイム感が、曲名どおりの“ナイスでイージー”な世界観を結晶化させた。以降、本曲はヴォーカル・ジャズの定番として、多数のシンガーやビッグバンド、小編成コンボに取り上げられているが、個別の映画使用や特定カバーの公式な受賞歴など、網羅的な記録は情報不明。プレイリストやスタンダード集での収録も多く、入門・中級者のレパートリーとして定着している。

現代における評価と影響

『Nice ’n Easy』は、過度な技巧に頼らず“間”と“語り”で魅せるヴォーカル・ジャズの手本として評価が高い。軽やかなスウィング、ポジティブな情緒、耳馴染みの良さは、ラウンジ/カクテル的な雰囲気作りにも適し、配信時代でも幅広いリスナーに受け入れられている。ジャズ教育の現場でも、タイムの置き方や発音、ダイナミクス設計を学ぶ教材曲として有用とされる点が特徴。結果として、本曲は“上質で肩肘張らないエレガンス”の代名詞となり続けている。

まとめ

ルー・スペンス作曲、バーグマン夫妻作詞の『Nice ’n Easy』は、シナトラとリドルの名演を起点に、ジャズ・スタンダードとして定着した。派手さよりも余裕と説得力を重んじる音楽性は、時代を超えて色褪せず、多彩なアレンジで生命力を保ち続ける。詳細なチャート情報や映画での使用履歴は情報不明ながら、今日でもレパートリーの中核を担う一曲であることに変わりはない。