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Nobody Else But Me

  • 作曲: KERN JEROME
#スタンダードジャズ
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Nobody Else But Me - 楽譜サンプル

「Nobody Else But Me|楽曲の特徴と歴史」

基本情報

Nobody Else But Meは、Jerome Kern(作曲)とOscar Hammerstein II(作詞)による楽曲。1946年のブロードウェイ・ミュージカル『ショウ・ボート』の再演に際し、新たに加えられたナンバーとして知られます。カーンが亡くなる直前に書かれた作品としてもしばしば言及され、アメリカン・ソングブックの重要曲の一つ。舞台起源の“ショー・チューン”でありながら、その後ジャズの定番曲として広く演奏されるようになりました。

音楽的特徴と演奏スタイル

標準的な32小節AABA形式に基づく洗練された書法が特徴。メロディは自己肯定の高揚感を感じさせつつ、フレーズの起伏が豊かで、バラードからミディアム・スイングまで幅広いテンポで機能します。コード進行は機能和声に立脚しつつ転調感のある推移を含み、リハーモナイズにも相性が良い楽曲です。ヴォーカルでは明瞭なディクションと語り口、器楽ではモチーフの展開力が問われ、エンディングのまとめ方で演奏者の個性が表れます。

歴史的背景

原作『ショウ・ボート』は1927年初演の古典的ミュージカルで、1946年の再演でNobody Else But Meが追加されました。ブロードウェイの再演という文脈で生まれた本曲は、戦後のアメリカ音楽界における“舞台曲からジャズへ”というレパートリー移行の流れを象徴します。Kernの端正な旋律美とHammerstein IIの言葉運びは、舞台外でも通用する普遍性を持ち、1950年代以降のジャズ・プレイヤーに採譜・解釈されて定着しました。

有名な演奏・録音

ジャズ・サックス奏者スタン・ゲッツは本曲を録音し、アルバム・タイトルに採用した例もあります。ほかにも多数のピアノ・トリオやヴォーカルが取り上げ、ステージの定番として蓄積された記録は豊富です。一方、1946年再演のオリジナル・キャスト録音の詳細や初出の音源情報は情報不明。舞台曲由来ながら、器楽曲としての評価も高く、教則的な題材として音楽学校やワークショップでも扱われます。

現代における評価と影響

今日では、アメリカン・ソングブック系のセッションで通用するジャズ・スタンダードとして位置づけられています。メロディと語感の親和性が高く、ヴォーカルのリサイタルやジャズ・クラブのレパートリーで継続的に演奏されるほか、ハーモニーの組み替えやテンポの工夫によりモダンな表現にも展開可能。舞台とジャズ双方の文脈を橋渡しする曲として、教育・実演の現場で価値が再確認されています。

まとめ

Nobody Else But Meは、ミュージカル由来の美しい旋律と柔軟な和声構造を併せ持ち、ジャズ演奏に適した懐の深さで愛され続ける一曲です。1946年の『ショウ・ボート』再演という歴史的文脈を背景に、スタンダードとしての生命力を獲得。ヴォーカルから器楽まで広く応用でき、解釈の余地も大きい本作は、今後もステージと録音で存在感を放ち続けるでしょう。