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Sugar

  • 作曲: TURRENTINE STANLEY
#スタンダードジャズ
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Sugar - 楽譜サンプル

Sugar|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Sugar」はTURRENTINE STANLEY(スタンリー・タレンタイン)作曲のインストゥルメンタル。CTIレーベルから発表された自身のアルバム『Sugar』に収められ、同曲は彼の代名詞として広く知られるようになった。初出音源の発表年は1971年。歌詞は付随せず、テナー・サックスを中心とする編成で演奏されることが多い。タイトルが同名の他曲と混同されやすいが、本作は1920年代の歌もの「Sugar」とは別作品である点に注意したい。

音楽的特徴と演奏スタイル

中庸テンポのマイナー・グルーヴが核で、メロディはシンプルながらブルース由来のコクと余白を生かしたフレージングが魅力。和声はモーダル志向を含み、長いソロの展開に耐える設計で、テナー・サックスの温かい音色とソウルフルな表現が映える。エレクトリック・ピアノやギター、パーカッションを加えた編成とも相性が良く、イントロでのワンコード・ヴァンプや、後半でのダイナミクス拡張など、ジャム的発展が自然に起こる曲構造が特徴である。

歴史的背景

1970年代初頭、ジャズはソウル/ファンクの語法や電化サウンドを取り込みながら拡張していた。CTIレーベルの洗練されたプロダクションは、そのクロスオーバー志向を象徴し、「Sugar」もその文脈で誕生した代表曲のひとつである。ラジオやクラブでの受容を意識した音響デザインと、即興の自由度を両立させた同曲は、硬派なジャズ・ファンからライト・リスナーまで幅広い層に届き、タレンタインのキャリアを決定づけた。

有名な演奏・録音

決定的なリファレンスは、スタンリー・タレンタイン自身の『Sugar』(CTI, 1971)に収録された初出ヴァージョンである。その後も本人のライヴ録音で頻繁に取り上げられ、テンポや編成を変えた多様な解釈が残された。サックス奏者やオルガン・トリオを中心に多数のカバーが存在し、リードシート集にも収載されるなど、現場での実用性が高いレパートリーとして定着している。

現代における評価と影響

「Sugar」はジャム・セッションの定番として、初学者からプロまで幅広く演奏される。シンプルな主題とマイナー・グルーヴはアドリブ練習に最適で、音大やワークショップの教材としてもよく用いられる。配信時代においても再生され続け、ソウル・ジャズとモーダルの架橋を学ぶ手本として価値を保ち続けている。ライブ現場では、イントロのヴァンプで雰囲気を作る演出が好まれ、会場を一体にする力を持つ。

まとめ

スタンリー・タレンタイン作曲の「Sugar」は、CTIサウンドを象徴するマイナー・グルーヴの名曲であり、歌詞を持たないインストのジャズ・スタンダードとして今日まで愛奏されている。シンプルな主題、自由度の高い和声、ソウルフルな表現が三位一体となり、演奏者の個性を際立たせる器として機能する。初めて聴くなら1971年の初出録音が最良の入口であり、以後の多彩な解釈を聴き比べることで本曲の懐の深さが実感できるだろう。