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Nuages

  • 作曲: REINHARDT DJANGO
#スイング#スタンダードジャズ
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Nuages - 楽譜サンプル

Nuages|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Nuages(ニュアージュ=雲)」は、ギタリスト/作曲家ジャンゴ・ラインハルトが1940年前後に発表した楽曲。ジプシー・ジャズを代表する名曲で、今日では世界的なジャズ・スタンダードとして定着している。原曲は器楽曲として書かれたが、後年には歌詞付きのバージョンも生まれ、さまざまな編成で親しまれている。

音楽的特徴と演奏スタイル

柔らかく浮遊感のある旋律が最大の魅力。中庸からスロー寄りのテンポで演奏されることが多く、アコースティック・ギターの「ラ・ポンペ」による跳ねる伴奏が土台を作る。クラリネットやヴァイオリン、ギターが主旋律を担い、シンプルな和声進行の上で滑らかなクロマティック・ラインを用いた即興が展開される。イントロで自由なルバートを置く解釈も一般的。

歴史的背景

本作は第二次世界大戦期のフランスで広まり、ラインハルトのレパートリーの中でもとりわけ人気を博した。スウィングの推進力と哀愁漂う旋律美を併せ持つ点が当時の聴衆に強く訴え、戦後も欧州から米国へと演奏の輪が拡大。放送やレコードを通じて認知が高まり、ジャズ・ギタリストを中心に標準曲として受け継がれていった。

有名な演奏・録音

決定的な基準は作者本人による複数の録音で、ギター主導のテイクに加え、クラリネットをフィーチャーしたバージョンも広く知られる。以後、バイレリ・ラグレーン、ローゼンバーグ・トリオ、アンジェロ・デバールなど、ジプシー・ジャズの名手がこぞって取り上げ、各人の音色とフレージングで楽曲の表情を更新してきた。ギター以外でもサックスやピアノの解釈が多い。

現代における評価と影響

「Nuages」はジャム・セッションやコンサートの定番曲であり、音大・専門学校の教材や曲集にも掲載されることが多い。メロディ重視の表現、声部進行に沿ったアドリブ、音量のダイナミクスなど、基礎から応用まで学べる題材として評価が高い。アコースティック編成だけでなく、ビッグバンドやソロ・ギターのための編曲も数多く存在する。

まとめ

哀感と気品を兼ね備えた旋律、温かいアコースティックの質感、即興が自然に溶け込む設計——「Nuages」はラインハルトの美学を凝縮した不朽のスタンダードだ。原典の録音を手がかりに、好みのアーティストの解釈を聴き比べれば、雲のように形を変える本曲の多彩な魅力が一層鮮明に立ち上がる。