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Taking A Chance On Love

  • 作曲: DUKE VERNON
#スイング#スタンダードジャズ
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Taking A Chance On Love - 楽譜サンプル

Taking A Chance On Love|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Taking A Chance On Love」は、作曲Vernon Duke(本ページのクレジット表記:DUKE VERNON)によるジャズ・スタンダード。初出は1940年のブロードウェイ・ミュージカル『Cabin in the Sky』で、作詞はJohn La ToucheとTed Fetter。恋にもう一度賭けてみるという前向きなテーマが核にあり、以来、ビッグバンドから小編成、ヴォーカルまで幅広く取り上げられてきた。ジャンルはショー・チューン由来のジャズ・スタンダードに分類される。

音楽的特徴と演奏スタイル

形式は一般的に32小節のAABA。明快な旋律線と、前向きな歌詞内容に呼応する軽快なスウィング感が魅力で、ミディアム・テンポを中心に、ヴォーカルはスキャットやリリカルなブリッジ表現、インストではAセクションでのモチーフ展開とBセクション(ブリッジ)の和声推移を活かした即興が映える。リハーモナイズの余地も大きく、モダン寄りのテンション付与や2ビートから4ビートへの推進を使った構成も相性が良い。

歴史的背景

『Cabin in the Sky』は当時としては稀な全黒人キャストのブロードウェイ・ミュージカルとして知られ、1943年には映画化もされている。本曲は同舞台の重要ナンバーの一つとして広まり、スウィング時代の空気の中で多くのバンドがレパートリー化した。ショー起源の親しみやすさとジャズ語法への適合性が高く、戦中期から戦後にかけて標準曲として定着していった。映画版でも取り上げられ、ポピュラー音楽とジャズの橋渡しに貢献した。

有名な演奏・録音

ブロードウェイ版・映画版の系譜でEthel Watersの歌唱が広く知られ、スウィング黄金期にはビッグバンドによる録音が数多く残された。特にBenny Goodman楽団による録音は代表的なヴァージョンとして言及されることが多い。その後も、多様なヴォーカリストや小編成ジャズがレパートリーとして継承。網羅的なディスコグラフィは情報不明だが、ショー・チューン発のジャズ曲として継続的に録音・演奏が行われている。

現代における評価と影響

今日でもスタンダード曲集や教育現場、ジャム・セッションのレパートリーとして扱われることが多く、ヴォーカルとインストの双方で表現の幅を試せる教材的価値を持つ。軽やかなスウィング感と明快なAABA構成は、アレンジの自由度を保ちながらも聴き手に伝わりやすい。映像作品や広告での近年の使用実績は情報不明だが、ショー由来の普遍性に支えられ、世代を超えて演奏され続けている。

まとめ

Taking A Chance On Loveは、ブロードウェイ出自の親しみやすさとジャズの即興性が見事に両立した名曲である。AABA形式に乗る前向きなメッセージは時代を超えて共感を呼び、ビッグバンドから小編成、ヴォーカルまで幅広い解釈を可能にする。初演の文脈と数々の録音を踏まえつつ、現代のプレイヤーにも新たな表現の余地を与え続ける、普遍的なスタンダードと言える。