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Out Of This World
- 作曲: ARLEN HAROLD,KOEHLER TED

Out Of This World - 楽譜サンプル
Out Of This World|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Out Of This Worldは、Harold ArlenとTed Koehler名義の作品として伝わる楽曲。作詞者や初出年は情報不明だが、複数の著名アーティストにより録音され、ジャズ・スタンダードとして親しまれている。旋律の伸びやかなラインと、調性感に揺らぎを生むコード進行が魅力で、歌ものとしてもインストゥルメンタルとしても演奏される機会が多い。
音楽的特徴と演奏スタイル
本曲はアルレンらしい半音階的な動きと大胆な和声展開が核にあり、メロディは広い音域を滑らかにつなぐ。テンポ設定は演奏者により幅があり、バラードとしての抒情性を引き出す解釈から、モーダル志向で長尺に発展させるアプローチまで許容する柔軟性がある。ハーモニーは転調的な色づけが要となり、ソロではガイドトーンの明確化とテンションの選択が表現の肝となる。伴奏面ではペダルトーンや反復型のヴァンプもよく用いられ、浮遊感と推進力を両立させやすい。
歴史的背景
制作や初演に関する具体的な一次情報は情報不明。しかし、Harold ArlenとTed Koehlerはいわゆるアメリカ流行歌の黄金期に活躍し、舞台や映画由来の名曲を多数残した作家コンビとして知られる。本曲もその流れの中で、ジャズ演奏家の採譜・再解釈を通じてレパートリーへと定着していったとされ、歌とインストの両輪で普及してきた。
有名な演奏・録音
代表的な録音として、John Coltraneが1962年のアルバム「Coltrane」に収めた長尺の演奏が広く参照される。モーダルな展開と強靭なインタープレイで、本曲の可能性を大きく拡張した名演として評価が高い。また、Ella Fitzgeraldは「Harold Arlen Songbook」で歌唱し、楽曲の旋律的美しさと歌詞表現の両面を丁寧に提示している。これらの録音により、曲は歌手・器楽奏者の双方にとって重要なレパートリーとして位置づけられた。
現代における評価と影響
今日でもセッションやコンサート・レパートリーに登場し、和声的な含意の多さから教育現場でも分析・実演の題材となることが多い。特に、和声の色彩変化に依拠したソロ構築、あるいはヴァンプ処理を用いたモーダル展開など、時代や編成に応じてアレンジの自由度が高い点が評価されている。録音史においても、歌もの・器楽の双方で解釈の幅を示す対照的名演が積み重なり、スタンダードとしての確かな地位を保っている。
まとめ
Out Of This Worldは、歌としての旋律美と、ジャズ的再解釈に耐える和声骨格を併せ持つ稀有な楽曲である。作詞者や初出年は情報不明ながら、ColtraneやElla Fitzgeraldといった演奏家の録音が基準点となり、現在も多様な解釈を生む源泉であり続ける。演奏者にとっては和声運用と音色設計の腕の見せ所、聴き手にとってはタイトルどおり“この世ならぬ”魅力を体感できる一曲だ。