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I’ve Got a Gal in Kalamazoo

  • 作曲: WARREN HARRY
#スタンダードジャズ
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I’ve Got a Gal in Kalamazoo - 楽譜サンプル

I’ve Got a Gal in Kalamazoo|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「I’ve Got a Gal in Kalamazoo」は、ビッグバンド黄金期を象徴するスウィング・ナンバー。一般に作曲はHarry Warren、作詞はMack Gordonとして知られ、1942年公開の映画「Orchestra Wives(オーケストラの妻たち)」でグレン・ミラー楽団が披露して広く人気を獲得した。曲名に登場する“カラマズー”は米ミシガン州の都市名で、軽快で覚えやすいフレーズと洒脱な都会感が魅力。出自や初出年は明確だが、出版情報・レーベル等の細目は情報不明。

音楽的特徴と演奏スタイル

中速からやや速めのスウィング・フィール、明快な32小節AABA形式が核となる。グレン・ミラー流のクラリネット主導によるサックス・セクションの柔らかなブレンド、躍動する4ビート、ブラスのリフが立体的に絡み、後半に向けて高揚する。コール&レスポンスを活かしたヴォーカル・アレンジも聴きどころで、バンドとコーラスが掛け合いながらフックを強調。ダンス・フロアとの親和性が高く、リズム隊の安定感がスウィング感を支える。

歴史的背景

1942年は米国の戦時体制下で、音楽は娯楽と士気高揚の役割を担った。映画とポピュラー・ソングの連携が強まるなか、本曲はスクリーン発のヒットとして拡散。都市名を題材にした親しみやすい世界観は、国内の地名に誇りや懐かしさを重ねる聴衆の感情を刺激し、ビッグバンド黄金期の空気を体現した。

有名な演奏・録音

決定的なヴァージョンは、グレン・ミラー楽団による1942年の演奏。映画「Orchestra Wives」では、The Modernairesとマリオン・ハットン、テックス・ベネキーらの歌唱、さらにニコラス兄弟の華麗なダンスが相まって名場面を形成した。レコードは全米で大ヒットし、以後スウィング・バンドの定番レパートリーに定着。以降の再演は多数あるが、詳細なディスコグラフィーは情報不明。

現代における評価と影響

本曲はビッグバンド/スウィングの象徴的レパートリーとして今日も評価が高い。ダンス・シーンやヴィンテージ・イベントでの人気は根強く、大学ジャズ・アンサンブルからプロの大編成まで幅広く採り上げられる。キャッチーなタイトルと反復フレーズは世代を超えて記憶に残り、アメリカン・ポピュラー音楽の文脈で“都市と音楽”を結ぶ典型例として語られることが多い。

まとめ

「I’ve Got a Gal in Kalamazoo」は、映画発のヒット、洗練されたアレンジ、踊れるスウィングという三拍子で時代を超えた定番となった。作曲Harry Warren、作詞Mack Gordonの職人的ソングクラフトを示す1曲であり、ビッグバンドのサウンド美学を知る最適の入り口でもある。歴史性と娯楽性のバランスに優れ、今なおライブや学内バンドで生き続ける名曲だ。