アーティスト情報なし
Party's Over, The
- 作曲: STYNE JULE

Party's Over, The - 楽譜サンプル
Party's Over, The|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「Party's Over, The」はJule Styne作曲、Betty ComdenとAdolph Green作詞による楽曲。1956年初演のブロードウェイ・ミュージカル『Bells Are Ringing』で発表され、主演ジュディ・ホリデイが歌って広く知られるようになった。舞台発のショー・チューンでありながら、その後は多くの歌手に取り上げられ、ジャズ・スタンダードとしても定着。メランコリックな情感と洗練された旋律が特徴で、ヴォーカル曲としての魅力が高い。
音楽的特徴と演奏スタイル
しっとりとしたテンポのバラードで歌词の余韻を生かす構成が中心。導入のバースから本編へ移行する演出や、間をたっぷり取るルバート、微細なダイナミクスで感情線を描く歌唱が好まれる。和声はショー・チューンらしく、機能和声の流れにリハーモナイズの余地が大きく、ジャズではテンションや代理和音を用いた再構築が盛ん。AABAに準じた標準的なフォームで扱われることが多く、ブレス位置と語感のコントロールが解釈の鍵となる。
歴史的背景
『Bells Are Ringing』は1950年代後半のブロードウェイ黄金期に誕生し、Styne–Comden–Greenという強力な制作チームの成果として評価された。作品中で「The Party's Over」は主人公の心情を静かに反映する重要曲として配置され、舞台の成功とともに大衆に浸透。1960年の映画版『Bells Are Ringing』でも採用され、楽曲の知名度をさらに押し上げた。以後、ジャズ・クラブやキャバレーの定番レパートリーへと拡散する。
有名な演奏・録音
初演時のジュディ・ホリデイによる歌唱(オリジナル・ブロードウェイ・キャスト録音)が原点として重要。映画版(1960年)でもホリデイが歌い、映像とともに楽曲の解釈を決定づけた。ジャズ・シーンでは、ジュリー・ロンドンの『Around Midnight』(1960年)収録が代表的なヴォーカル・バージョンとして知られる。ほかにも多数のシンガーや小編成コンボが録音しているが、網羅的なディスコグラフィは情報不明。
現代における評価と影響
舞台由来の歌としての物語性と、ジャズ的再解釈に耐える和声構造を併せ持つ点が長期的な生命力を支えている。リサイタルやオーディション曲として選ばれる機会も多く、歌詞の含意を読み解く表現力と、テンポの自由度を制御する音楽性が問われる。プレイヤー側には、イントロの設計や終止の間合いといったアレンジ面で創造性が求められ、今日でも教育現場や現場演奏の両方で重宝される定番ナンバーである。
まとめ
「Party's Over, The」は、ブロードウェイ発のショー・チューンとして誕生し、抒情性と構成美によってジャズ・スタンダードへと拡張した希有な一曲である。原典の物語性を尊重しつつ、和声・テンポ・間(ま)の工夫で多彩な解釈が可能なため、今後も世代を超えて演奏され続けるだろう。