あなたのポケットにスタンダードの楽譜集をソングブック12keyに移調できる楽譜アプリ「ソングブック」

アーティスト情報なし

This Masquerade

  • 作曲: RUSSELL LEON
#洋楽ポップス#スタンダードジャズ#カーペンターズ
App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう
← 楽曲一覧に戻る

This Masquerade - 楽譜サンプル

This Masquerade|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Leon Russellが1972年に作曲し、自身のアルバム『Carney』で初出となった楽曲。のちにジョージ・ベンソンが1976年のアルバム『Breezin’』で取り上げ、国際的に広く知られるようになった。歌詞を伴うバラードで、ジャズとポップの境界を横断するスタンダードとして定着している。

音楽的特徴と演奏スタイル

落ち着いたテンポのマイナー・バラード。半音階的な下降を含む滑らかなコード進行と、9thや13thなど拡張和音が醸す都会的な陰影が特色。リズムにはラテンのニュアンスがあり、ヴォーカルは内省的なフレージングで感情を抑制して描く。ベンソン版ではギターとスキャットのユニゾンが印象的で、洗練されたストリングスやエレピが色彩を添える。

歴史的背景

70年代初頭、シンガー・ソングライターの私的な視点と、ジャズ/ソウルの洗練が交差する文脈で生まれた曲。クロスオーバー潮流の中で、ジャズ的ハーモニーを持つポップ・チューンがラジオでも受け入れられる土壌が整い、本作はその橋渡し的役割を果たした。作曲者本人のルーツ感と、後年のジャズ・アレンジの親和性が両立している。

有名な演奏・録音

レオン・ラッセルのオリジナル(1972『Carney』)は素朴で枯淡。カーペンターズのカヴァーも早期に知られ、洗練された解釈を示した。決定打はジョージ・ベンソン(1976『Breezin’』)で、トミー・リピューマのプロデュース、クラウス・オガーマンの編曲によりジャズ/ポップ双方の聴衆へ届くサウンドを確立。米国でヒットとなり、同曲の代表的ヴァージョンとされる。受賞歴は情報不明。

現代における評価と影響

現在もヴォーカル、ギター、サックスのレパートリーとして広く演奏され、ジャズ・クラブやセッションで定番化。歌詞の情感とジャズ的コードワークの両立により、アレンジの自由度が高く、教育現場でもハーモニー学習の題材となることが多い。配信時代に入ってからもカヴァーが途切れず、世代を超えてリスナーを獲得している。

まとめ

ポップスの感性で綴られた真摯なバラードを、ジャズが洗練し普遍化した好例。初出から半世紀を経ても新鮮さを失わず、多様な解釈を受け入れる器の大きさが、本曲をスタンダードたらしめている。入門者にも演奏者にも開かれた一曲と言える。