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Pennies From Heaven
- 作曲: JOHNSTON ARTHUR

Pennies From Heaven - 楽譜サンプル
Pennies From Heaven|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Pennies From Heaven は、作曲アーサー・ジョンストン、作詞ジョニー・バークによる1936年の楽曲。ビング・クロスビー主演の同名映画で発表され広く知られた。以後、歌と器楽の両面で親しまれるジャズ・スタンダードとなり、雨と幸運を重ねる寓意によって、困難の後に恵みが訪れるという希望を描く。
音楽的特徴と演奏スタイル
AABA型の32小節フォームを採り、循環進行やII–V進行が連鎖する和声が即興を促す。テンポはミディアム〜ミディアム・アップのスウィングが主流で、4ビートのウォーキング・ベースとシンコペーションが心地よい推進力を生む。旋律は跳躍と順次の対比が明快で、ボーカルのレガートも、器楽のビバップ的ラインも映える。
歴史的背景
1930年代のアメリカは大恐慌の只中にあり、映画とラジオは大衆の慰めだった。本曲はそうした時代精神のもと、映画由来のポピュラー・ソングとして登場し、放送・出版を通じて急速に普及。クロスビーの温かな歌唱が象徴する「逆境の先の祝福」という楽観が、当時の聴衆に強く受け入れられた。
有名な演奏・録音
初演のビング・クロスビーはもちろん、ビリー・ホリデイ、ルイ・アームストロング、エラ・フィッツジェラルド、フランク・シナトラ、トニー・ベネット、サラ・ヴォーン、カウント・ベイシー楽団、オスカー・ピーターソンらが名演を残す。各演奏はテンポ設定やイントロ、エンディングの処理に工夫が見られ、解釈の幅の広さを示している。
現代における評価と影響
現在もジャム・セッションや音楽教育の現場で定番曲として扱われ、明快なフォームと和声はアドリブ学習の良い題材となる。小編成からビッグバンドまで編成適性が高く、ボーカルとインストの双方でプログラムを支える便利曲として評価が揺るがない。
まとめ
映画発のポピュラーがジャズと融合して普遍化した好例が本曲である。耳に残る旋律と即興を招く和声、前向きなテーマが一体となり、世代を越えて演奏され続けている。初学者にも上級者にも発見の多い一曲と言える。