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Pfrancing (No Blues)
- 作曲: DAVIS MILES

Pfrancing (No Blues) - 楽譜サンプル
Pfrancing (No Blues)|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「Pfrancing(No Blues)」はマイルス・デイヴィス作のインストゥルメンタル。初出は1961年『Someday My Prince Will Come』。タイトルは当時の妻フランシス・テイラーにちなむ語呂合わせとして知られ、のちにライヴで「No Blues」の名が普及した。形式は12小節ブルース。歌詞は存在しない。
音楽的特徴と演奏スタイル
シンプルなリフ主体のヘッドと、即興の余白が広い12小節構成が特徴。テンポは中庸〜アップでの4ビートが基本で、ブルース語法とモーダルな色付けの両立がしやすい。ハーモニーの解釈(サブドミナントの滞留やターンアラウンドの差し替え)で個性が出やすく、リズム隊はウォーキングの推進力と間合いのコントロールが要となる。
歴史的背景
50年代末のモード探究を経て、デイヴィスがポスト・バップへ移行する過程で生まれた実演向けレパートリー。クラブで機能する即興の器として設計され、初録音後はツアーで高速化・拡張されるなど、演奏現場で鍛えられながら「No Blues」の呼称が定着していった。
有名な演奏・録音
代表は初出アルバム『Someday My Prince Will Come』(1961)。加えて、1960年代中期のマイルス各種ライヴ公式音源でも頻繁に取り上げられる。サイドの名演としては、ウィントン・ケリー・トリオ+ウェス・モンゴメリー『Smokin’ at the Half Note』(1965)が定番で、スウィングとブルース感の理想的融合を示す。
現代における評価と影響
ブルース語彙の学習と実戦力の両方を磨ける教材として教育現場・セッションで定番化。多様なテンポやフォーム解釈に耐える懐の深さが評価され、プロ/アマを問わず録音・配信でカヴァーが絶えない。モダン・ジャズの共通言語を体現する一曲として位置づけられる。
まとめ
簡潔な12小節に無限の解釈を託したマイルス流ブルース。初出とライヴの両方を聴き比べることで、楽曲の核と時代的変容が立体的に見えてくる。入門にも分析にも最適だ。