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Phase Dance

  • 作曲: MAYS LYLE D, METHENY PATRICK B
#フュージョン
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Phase Dance - 楽譜サンプル

Phase Dance|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Phase Dance」は、Lyle D. MaysとPat Methenyの共作によるインストゥルメンタル。初出はPat Metheny Groupのデビュー作『Pat Metheny Group』(1978, ECM)。編成はギター、キーボード、エレクトリック・ベース、ドラムというカルテットで、端正な音響と透明感の高いプロダクションが特徴。以後グループを象徴するレパートリーとして広く演奏されてきた。

音楽的特徴と演奏スタイル

本曲は、穏やかな反復型のベース/ピアノ・パターン上に、歌うようなギター旋律が伸びやかに展開する構図。開放的な和声と滑らかなボイス・リーディング、空間を生かしたサウンド設計が核となる。ソロは一定のヴァンプとコード進行を往来し、インタープレイによるダイナミクスの起伏が際立つ。クリーントーンのギターとシンセのパッドが立体的な質感を生み、テーマ回帰で余韻を残す。

歴史的背景

1970年代後半、電化以降のフュージョンが成熟する中で、ECM周辺の静謐な美学とアメリカンな歌心を結びつけたのが本曲の位置づけ。メセニー=メイズの協働がもたらすメロディ志向と即興の開放性は、当時のジャズ/フュージョンに新しい聴取層を呼び込み、国際的なツアーでも看板曲として知られるようになった。音響美と親しみやすさの両立が評価を押し上げた。

有名な演奏・録音

代表的音源は1978年のスタジオ録音。以降、ライブではテンポや尺、ソロ配分が変化し、キーボードとギターのコール&レスポンスが拡張される演奏が多い。公式のライブ作品や放送アーカイブにもたびたび収録されているが、個別タイトルの網羅は情報不明。教育現場やアマチュア・バンドによるカバーも散見され、アンサンブル教材として扱われることがある。

現代における評価と影響

今日では、現代ジャズ入門の1曲として言及されることが多く、作編曲と即興の接点を学ぶ教材としても有用と評価される。旋律性、グルーヴ、音響美の均衡は、その後のコンテンポラリー・ジャズやポスト・フュージョン系の作法に影響を与え、ギタリストのみならず鍵盤奏者にとっても指標的なレパートリーとなった。多様な編成で再解釈される柔軟性も評価点である。

まとめ

端的にいえば、「親しみやすい旋律」と「広がりのあるサウンド」を土台に、即興のダイナミクスを段階的に積み上げる設計が魅力。初めて聴く場合は、冒頭の反復パターンからクライマックスに至る音量と密度の変化、そして再提示されるテーマの余韻に注目すると、本曲の核が捉えやすい。インストゥルメンタルの名曲として、世代を超えて聴かれる理由がここにある。