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King of the Road

  • 作曲: MILLER ROGER
#スタンダードジャズ
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King of the Road - 楽譜サンプル

King of the Road|歌詞の意味と歴史

基本情報

「King of the Road」はRoger Millerが作詞作曲し、1964年に発表されたカントリー由来のポップ・ソング。軽快なスウィング感とユーモアあふれる語り口で世界的ヒットとなり、米国ではカントリーとポップ両チャートで上位を記録、英国シングルチャートでも1位を獲得したことで知られる。ミニマルな編成に乗るボーカルの存在感が際立ち、ロードソングの象徴的楽曲として定着した。

歌詞のテーマと意味

歌詞は、所持金も持ち物も少ない流れ者の生活を、皮肉とユーモアで語る一人称の物語。安価な宿や移動の知恵など“貧しい現実”を列挙しつつ、しがらみから解放された自由を誇るアイロニカルな自己宣言が核にある。社会的成功とは逆の立場にいる主人公が、軽妙な言葉遊びで自分の世界の“王”を名乗る逆説が魅力で、貧しさと自由の二面性を鮮やかに描き出す。明確なプロテストではないが、日常への風刺が効いている。

歴史的背景

1960年代前半、米国ではフォークやカントリーがポップ市場へ越境し、語り口の強いシンガーソングライター像が注目を集めていた。Millerは軽妙洒脱なユーモアと簡潔な作曲術で知られ、本作もその才気が結晶した一曲。時代の空気を映す“移動”と“自由”のモチーフは、戦後消費社会への半歩引いた視線とも響き合い、ジャンルの壁を越えた支持につながった。

有名な演奏・映画での使用

多くのアーティストがカバーし、ディーン・マーティンによる録音は広く知られる。また、女性視点のアンサーソング「Queen of the House」(Jody Miller)も派生ヒットとなった。映画やテレビ番組、CMなどメディア使用も多いが、代表的な作品名は情報不明。原曲の洒脱なテンポ感と覚えやすいフックゆえ、ロードムービー的な文脈やコミカルな場面に相性がよい。

現代における評価と影響

簡潔なコード進行と語りかけるボーカル、ユーモラスな描写は、多様なジャンルのカバーやライブ定番化を後押し。ストリート感のある編成でも成立し、弾き語りからバンド編成まで適応範囲が広い。社会階層を逆転させる語りの手法は、後続のシンガーソングライターやオルタナ系カントリーにも影響を与えたと評される。現在も入門的スタンダードとして学習・演奏機会が多い。

まとめ

「King of the Road」は、貧しさと自由の逆説を軽妙に描いた名曲。コンパクトなアレンジと記憶に残るメロディ、風刺の効いた詞世界が時代を超えて支持されてきた。カントリー発のポップ越境例としても重要で、カバー文化やメディア使用を通じて現在まで広く浸透。ロードソングの古典にして、日常を別角度から照らす物語性が最大の魅力である。