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Let’s Dance

  • 作曲: BONIME JOSEF,STONE GREGORY
#スタンダードジャズ
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Let’s Dance - 楽譜サンプル

Let’s Dance|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Let’s Danceは、BONIME JOSEF(ジョセフ・ボニム)とSTONE GREGORY(グレゴリー・ストーン)によるインストゥルメンタルのスウィング・ナンバー。ベニー・グッドマン楽団のテーマ曲として広く知られ、1930年代半ばの全米ラジオ番組における使用で知名度を獲得した。原曲はカール・マリア・フォン・ウェーバーの管弦楽曲「舞踏への勧誘(Invitation to the Dance)」の主題を基にしたジャズ・アレンジとされる。歌詞は存在せず、作詞者は情報不明。ビッグバンド編成での演奏を前提とした楽曲で、スウィング時代の象徴的レパートリーに数えられる。

音楽的特徴と演奏スタイル

テンポは軽快なスウィングで、クラリネット主旋律が印象的。ウェーバー由来の流麗な旋律をジャズのシンコペーションに落とし込み、ブラス・セクションとリード・セクションのコール&レスポンス、リフの積み重ね、シャウト・コーラスへ向かう高揚を備える。アンサンブルのタイトなユニゾンと、クラリネットまたはサックスの短いソロを差し込む構成が一般的で、リズム・セクションは四分ウォーキングの推進力でダンス性を際立たせる。終結はキメのタグや短いブレイクを伴うことが多く、オープナーに好まれる設計だ。

歴史的背景

1930年代のアメリカでは、ラジオがダンス音楽の普及を牽引した。Let’s Danceは、ベニー・グッドマン楽団が出演した全米放送の番組テーマとして用いられ、同楽団の認知度を押し上げる役割を果たした。クラシックの主題をジャズ文法に翻訳する手法は当時の編曲家の重要な仕事であり、ボニム/ストーンのアレンジはその成功例の一つといえる。スウィング・クレイズの波に乗り、曲名そのものが“踊ろう”という番組趣旨と合致していた点も、幅広い聴衆に受け入れられた一因となった。

有名な演奏・録音

最もよく知られるのはベニー・グッドマン楽団による各種の放送録音・ライヴ音源で、復刻盤やアーカイブにより現在も鑑賞可能である。オープニングやクロージングのテーマとして繰り返し用いられたため、複数のテイクやバリエーションが存在する。グッドマン以外にも、ビッグバンドの定番レパートリーとして各地のプロ/アマチュア楽団が演奏しており、教育現場やジャズ・フェスティバルのプログラムでもしばしば取り上げられる。具体的な映画での使用は情報不明。

現代における評価と影響

Let’s Danceは、スウィング時代の活力とダンス性を象徴するテーマ曲として認知され続けている。クラシック主題の再解釈、明快なリフ・ライティング、クラリネットを軸にしたオーケストレーションなど、編曲面での学習素材としても価値が高い。コンサートのオープナーとしての即効性と、観客にわかりやすいフックを両立しており、現代のビッグバンドにおいても演奏機会は多い。歴史的意義と実演的実用性を兼ね備えた、レパートリーの要石的存在である。

まとめ

BONIME JOSEFとSTONE GREGORYによるLet’s Danceは、クラシックの名旋律をスウィングへ巧みに橋渡ししたインストゥルメンタル。ベニー・グッドマン楽団のテーマ曲として広く浸透し、スウィング時代の記憶を体現する。鮮やかなリフ、推進力あるビート、響きのコントラストは今日でも色褪せず、ビッグバンドの導入曲として最適だ。歴史的背景と音楽的完成度の両面で、今なお学ぶべき点の多い不朽のスタンダードと言える。