Luck Be a Lady
- 作曲: LOESSER FRANK

Luck Be a Lady - 楽譜サンプル
Luck Be a Lady|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「Luck Be a Lady」は、作曲家フランク・レッサーが1950年のブロードウェイ・ミュージカル『ガイズ&ドールズ』のために書いた代表曲。劇中で主人公スカイ・マスタースンが歌うショー・チューンで、のちにジャズ・スタンダードとして定着した。英語詞の楽曲で、レッサー自身が作詞作曲を担当。多様なキーで演奏されるが、舞台やビッグバンド・アレンジで映える構成が特徴で、歌詞の全文はここでは扱わない。
音楽的特徴と演奏スタイル
32小節のAABA形式を基盤にしたミディアム・スウィング。導入の緊張感あるヴァンプから、ブラスのスタブとコール&レスポンスが推進力を生む。歌唱は語り口の強弱が重要で、台詞的なニュアンスから自然にスウィングへ移る流れが聴きどころ。ビッグバンドではシャウト・コーラスや転調でクライマックスを作る編曲が好まれ、コンボ編成ではテンポを落としてブルージーに解釈されることも多い。
歴史的背景
本曲は、スカイが大勝負の直前に「幸運の女神」に呼びかける場面で歌われる。1950年の初演で『ガイズ&ドールズ』はトニー賞最優秀ミュージカル賞を受賞し、楽曲も広く知られるようになった。1955年の映画版ではマーロン・ブランドがこのナンバーを披露し、作品の大衆的浸透を後押しした。以降、舞台再演やキャスト録音でたびたび取り上げられている。
有名な演奏・録音
フランク・シナトラの録音と、1966年のライブ盤『Sinatra at the Sands』でのバージョンは特に名高い。カウント・ベイシー楽団とのスケール感あるアレンジは、ビッグバンド解釈の規範として参照されることが多い。映画『ガイズ&ドールズ』でのブランドの歌唱も歴史的に重要。ほかにも多数のジャズ・シンガーやブロードウェイ・キャストが録音を残し、世代を超えて演奏され続けている。
現代における評価と影響
ギャンブルやラスベガスのイメージと強く結びつく楽曲として、ショーやイベントのBGM、テレビ番組などで頻繁に用いられる。ジャズ/ポップの枠を越えて、ビッグバンド、コンボ、ミュージカル・プロダクションの定番レパートリーとなり、音大のアンサンブルでも教材的に扱われることが多い。明快なフォームとドラマ性は、編曲家・歌手の解釈を引き出す土台となっている。
まとめ
『Luck Be a Lady』は、ブロードウェイ発のショー・チューンでありながら、ジャズの語法で洗練されたスタンダード。舞台の物語性とスウィングの躍動を併せ持ち、名演の系譜が今も更新され続ける一曲だ。作品理解には舞台文脈とジャズ・アレンジの両視点が有効で、演者ごとの差異を聴き比べる価値が高い。