アーティスト情報なし
Red Clay
- 作曲: HUBBARD FREDDIE

Red Clay - 楽譜サンプル
Red Clay|楽曲の特徴と歴史
基本情報
フレディ・ハバード作曲の「Red Clay」は、1970年にCTIレコードから発表された同名アルバムのタイトル曲。録音はニュージャージー州のヴァン・ゲルダー・スタジオ、プロデュースはクリード・テイラー。編成はハバード(tp)、ジョー・ヘンダーソン(ts)、ハービー・ハンコック(e.pf)、ロン・カーター(b)、レニー・ホワイト(ds)。アルバムでは10分超のインストゥルメンタルとして収録された。
音楽的特徴と演奏スタイル
ファンキーな一定のヴァンプとモーダルな和声感を土台に、ブルース由来のリフでテーマが提示されるのが本曲の核。エレクトリック・ピアノの厚いコードと堅牢なベース・オスティナート、タイトなバックビートが推進力を生み、ソロは開放的なフォームで展開。ドリアン系のスケールやペンタトニックを用いたアドリブが効果的で、ダイナミクスを大きくうねらせる長尺のビルドアップが聴きどころだ。
歴史的背景
1960年代後半から70年代初頭にかけて、ハード・バップはエレクトリック化やファンクの要素を取り込み進化した。CTIはその潮流を洗練された音響で提示したレーベルで、「Red Clay」はその代表例。ブルーノート時代のハバードの直線的なハード・バップ路線から一歩踏み出し、ジャズとソウル/ファンクの感覚を架橋した楽曲として位置づけられる。
有名な演奏・録音
まずはオリジナル・スタジオ版が基準点。加えて、CTIオールスターが出演したCalifornia Concert: The Hollywood Palladium(1971)での熱演は、拡張された構成と白熱のソロで知られる。以降もライヴでの定番曲として数多く取り上げられ、CTI In Concert 系の音源をはじめ、多様な編成で録音が残る。ヴォーカリーズを試みた歌唱版もあるが、詳細は情報不明。
現代における評価と影響
今日ではセッションや音楽教育の現場で広く演奏されるジャズ・スタンダード。グルーヴを維持しつつモーダルな語彙で語る練習素材として重宝され、トランペットのみならずサックスやリズム・セクションの語法形成にも影響を与えた。ジャズ入門者にも取っつきやすい力強いビートと覚えやすいテーマは、世代を超えて支持され続けている。
まとめ
「Red Clay」は、ハード・バップの洗練とファンクの推進力を結びつけた1970年代ジャズの象徴的レパートリーであり、録音から半世紀を経ても色褪せない即興のプラットフォームだ。オリジナルと主要ライヴ演奏を聴き比べることで、編成やアプローチの違いによる表情の変化を堪能できる。