Put ’Em in a Box, Tie ’Em With a Ribbon (And Throw ‘Em in the Deep Blue Sea)
- 作曲: STYNE JULE

Put ’Em in a Box, Tie ’Em With a Ribbon (And Throw ‘Em in the Deep Blue Sea) - 楽譜サンプル
「Put ’Em in a Box, Tie ’Em With a Ribbon (And Throw ‘Em in the Deep Blue Sea) |歌詞の意味と歴史」
基本情報
作曲はJule Styne(表記:STYNE JULE)、作詞はSammy Cahn。1948年の米映画「Romance on the High Seas」で初披露され、ドリス・デイが劇中で歌ったことで知られる。明朗なスウィング感を持つポピュラー・ソングで、軽やかなリズムと呼応する印象的なタイトルが耳に残る。初演時の詳細なチャート成績や初出音源の版元は情報不明だが、映画発のヒット・チューンとして位置づけられている。
歌詞のテーマと意味
タイトルが示す通り、未練や思い出を“箱に詰めてリボンをかけ、青い海に投げ捨てよう”と促す比喩が核。辛い恋をユーモアで断ち切り、前を向く自己解放のメッセージが貫かれる。命令形のフレーズが軽快なビートに乗ることで、重くなりがちな失恋テーマを明るく転換。リフレインの痛快さがカタルシスを生み、観客の情緒と物語の推進を同時に支える。歌詞全文はここでは割愛する。
歴史的背景
第二次大戦後、ハリウッドは明るい音楽映画で活気を取り戻す。ヒットメーカーのサミー・カーン&ジュール・スタインは、その潮流を牽引した名コンビ。本曲は彼らの快活で機知に富む作風を体現し、1948年の話題作「Romance on the High Seas」でドリス・デイの瑞々しい歌声と共に観客の心をつかんだ。デイにとってもスクリーン・デビュー期を象徴するナンバーであり、キャリア初期の魅力を物語る。
有名な演奏・映画での使用
映画内では軽妙なテンポで披露され、朗らかなムードで物語に弾みを付与。映像と音楽のシンクロが鮮やかで、コミカルな歌詞が視覚的演出と噛み合うのが特徴だ。商業録音や後年のコンピレーションにも取り上げられ、映画サウンドトラック由来のスタンダード的存在として親しまれてきた。具体的なチャート順位や収録盤の詳細は情報不明だが、デイの代表的レパートリーの一つとして認知される。
現代における評価と影響
過去を笑い飛ばして前進するという普遍的テーマは、時代を超えて共感を呼ぶ。アメリカン・ソングブック文脈で紹介されることがあり、ヴィンテージ・ポップの愉悦と映画音楽の洒脱さを同時に味わえる一曲として評価される。演奏面では、明快な2ビート/スウィング感と語り口の巧さが鍵となり、ボーカリストのキャラクターを引き立てる教材的価値も指摘される。
まとめ
「Put ’Em in a Box, Tie ’Em With a Ribbon」は、失恋を軽やかな機知で昇華した1948年の映画発ポップ・ソング。カーン&スタインの職人芸、ドリス・デイのフレッシュな表現、そして耳に残るタイトルの三位一体で今日まで愛されている。映画史とポピュラー音楽史の接点を示す好例として、今なお聴く価値の高い一曲だ。