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Respect

  • 作曲: REDDING OTIS
#スタンダードジャズ
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Respect - 楽譜サンプル

Respect|歌詞の意味と歴史

基本情報

Respectは、オーティス・レディング(作曲・作詞)が1965年に発表したソウル・ナンバー。初出はアルバム『Otis Blue/Otis Redding Sings Soul』に収録されたバージョンで、切れのあるホーンとリズム・セクションが牽引するスタックス系の王道サウンドをまといます。1967年にはアレサ・フランクリンが同曲を取り上げ、シングルとして全米1位を獲得。以後、タイトル通り“敬意”をめぐる代表的アンセムとして世界的に知られるようになりました。

歌詞のテーマと意味

歌詞の核にあるのは、相互の敬意と対等性を求める切実なメッセージです。レディング版は家庭内での理解と見返りを求める男性視点が色濃く、労働の対価や思いやりを求めるニュアンスが前面に出ます。一方、フランクリン版は語り手のジェンダーが反転し、自己肯定と主体性を強く打ち出す解釈へと進化。独自のコール&レスポンスや綴りの強調、掛け声の追加によって、尊厳と権利を明確に主張するプロテスト・ソウルの性格を帯びました。

歴史的背景

1960年代半ばのアメリカは、公民権運動と第二波フェミニズムが加速した時代。南部ソウルの名門スタックス周辺で育まれたレディング版は、労働や家庭という日常のリアリティを反映しました。これをフランクリンがアトランティックで再解釈したことで、社会的ムードと共鳴し、個人の尊厳を巡る普遍的な訴えに拡張。同曲はラジオやチャートを越え、集会やコミュニティでも歌われる“現場の歌”として定着していきます。

有名な演奏・映画での使用

決定版として語られるのは、アレサ・フランクリンの1967年シングル。ソウルの表現語法を更新し、以後のパフォーマンス基準を打ち立てました。以降、数多くのアーティストがカバーを重ね、ライブの定番曲として継承。映画面では、アレサの伝記映画『リスペクト』(2021年)で楽曲が重要な位置を占め、楽曲タイトル自体が物語の軸として機能しました。その他の個別作品での使用は情報不明です。

現代における評価と影響

フランクリン版はローリング・ストーン誌「史上最高の500曲」2021年版で1位に選出され、時代を超える指標的名曲として再評価が進みました。チャート功績のみならず、言葉とリズムの力で社会意識を変える楽曲のモデルケースとして音楽史に刻まれています。カバーやサンプリング、スポーツや式典での使用など、場面を問わず“敬意”の象徴として鳴り続け、若い世代にも意味が伝達され続けています。

まとめ

Respectは、レディングの鋭いソングライティングと、フランクリンの大胆な再解釈が出会い、個人的訴えを普遍的なメッセージへと押し広げた象徴作です。半世紀を経ても新鮮さを失わないのは、“敬意”というテーマが時代を超えて人々の心に刺さり続けるからにほかなりません。