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Theme From Shaft

  • 作曲: HAYES ISAAC
#洋楽ポップス#映画音楽#R&B
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Theme From Shaft - 楽譜サンプル

Theme From Shaft|作品の特徴と歴史

基本情報

「Theme From Shaft」はアイザック・ヘイズ作曲・作詞、1971年公開の映画『シャフト』主題歌として発表された。スタックス系レーベルのサウンドトラックに収録され、全米シングルチャートで1位を獲得。翌1972年のアカデミー賞で歌曲賞を受賞し、同部門における黒人アーティスト初の受賞作として記録された。ボーカル入りのシングル・バージョンと、映画用の長尺インストゥルメンタルを持つ点も特徴で、映画音楽とポップス双方の文脈で広く親しまれている。

音楽的特徴と表現

冒頭を象徴するワウワウ・ギター、16分ハイハット、うねるベース・オスティナートが核となり、ストリングスとホーンの厚いオーケストレーションが映画的スケールを与える。長いインスト導入ののち、コーラスと語り口調のボーカルが加わり、主人公ジョン・シャフトの人物像を端的に描写。ソウル/ファンクの躍動を保ちながら、映画音楽のダイナミクスで展開する構成が魅力だ。都会的でクールな質感と粘着質のグルーヴの対比、コール&レスポンスの配置、鋭いブラス・リフなど、のちのシネマティック・ファンクの模範となる要素が凝縮されている。

歴史的背景

1970年代初頭はブラックスプロイテーション映画が隆盛し、黒人アーティストの表現が商業映画の中心へ進出した転換点だった。本曲はメンフィスのソウル・サウンドと映画スコアの手法を架橋し、スクリーン上の黒人ヒーロー像を音楽面から力強く支えた。公民権運動後の文化的自負の高まり、スタックス周辺の制作基盤がその質感を生み、ポピュラー音楽と映画市場の双方で成功を収める土壌となった。

使用された映画・舞台(該当時)

『シャフト』(監督ゴードン・パークス、主演リチャード・ラウンドトゥリー)のオープニングで、主人公がニューヨークの街を歩く導入シーンに重なる形で使用され、都市の空気とキャラクターを一体化して提示する。その後も劇中のモチーフとして再登場し、場面の推進力を支えた。続編や再映画化においてもテーマは引用・再演され、シリーズの音楽的アイデンティティを確立している。

現代における評価と影響

映画音楽とポップスの垣根を越えるヒットとして、本曲はファンクの語彙—ワウ・ギター、強靭なリズム・セクション、コール&レスポンス—をシネマへ定着させた。ビルボード1位とアカデミー賞受賞により大衆的支持と批評的評価を同時に獲得。以後、ヒップホップやR&Bでのサンプリングの対象となり、テレビや映画のテーマ曲作法にも影響を与えた。各種名曲・映画音楽ランキングにたびたび選出され、現在も再評価と参照が続いている。

まとめ

「Theme From Shaft」は、ソウル/ファンクの熱量と緻密なオーケストレーションを結びつけ、キャラクター造形と都市のリアリティを音で可視化した画期的な主題歌である。映画の枠を超えてスタンダード化し、21世紀の今日もカルチャーの中で生き続ける。