Smiles and Smiles to Go
- 作曲: CARLTON LARRY E

Smiles and Smiles to Go - 楽譜サンプル
Smiles and Smiles to Go|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「Smiles and Smiles to Go」は、ギタリストLarry Carlton(クレジット表記:CARLTON LARRY E)が作曲したインストゥルメンタル。初出はアルバム『Discovery』(1986)収録曲で、歌詞は存在しない。作詞者は情報不明。滑らかなギターの旋律を核に、当時のAOR/フュージョンと親和するサウンドが特徴で、作曲者本人の代表的レパートリーとして知られる。スタジオ出身の高度な音作りとポップな聴きやすさを両立した、入門にも適した一曲である。
音楽的特徴と演奏スタイル
柔らかなクリーントーンと程よいサステインのギターが主役。シンプルで印象的なモチーフを反復し、ハーモニーの色合いを少しずつ変化させて展開する。リズムは中庸のグルーヴで、エレピやパッド系シンセ、エレクトリック・ベース、ドラムが穏やかに支える。細やかなビブラートやレガート、控えめなチョーキングを織り交ぜ、歌うようなフレージングで魅了する。ソロはメロディ志向で、過度な技巧を誇示せず、フックのある主題へ自然に回帰する構成が美しい。
歴史的背景
カールトンは1970年代に一流のセッション・ギタリストとして頭角を現し、80年代にはリーダー作で独自のメロディ志向を確立した。「Smiles and Smiles to Go」はその成熟期に位置づけられ、ジャズ・ロック的な鋭さよりも、洗練されたポップ感覚と室内楽的なバランス感を前面に出した。スタジオ技術が飛躍した時代の産物でもあり、音色の艶や定位設計、余白の扱いに時代性が反映されている。
有名な演奏・録音
最初の公式録音は『Discovery』(1986)。以後、作曲者本人のコンサートやツアーで繰り返し演奏され、ライブ版や映像作品でも確認できる。ギターとバンドの編成は時期により異なるが、主題のニュアンスは一貫して丁寧に再現される。映画やテレビでの特定の使用情報は情報不明。他アーティストによる著名なカバーの系譜についても情報不明である。
現代における評価と影響
今日では、滑らかなメロディ運びと温かいトーンの手本としてしばしば言及される。アドリブの語法よりも「歌心」を重視した設計は、フュージョン/スムース・ジャズ系のギタリストに影響を与え続けている。配信時代でも聴き疲れしにくい音像と明快なフックにより、新規リスナーの入口になりやすい点も魅力。楽曲の理知的な構築が、長く支持される理由だ。
まとめ
本作は、ラリー・カールトンの作曲家/ギタリストとしての美点――歌うメロディ、洗練された音色設計、過不足ない編曲――を集約した一曲である。派手さに頼らず、繰り返しの中で情感を積み重ねる設計が秀逸。インストゥルメンタルの魅力を体現する名品として、現在も定番的に聴かれている。