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Serpent's Tooth
- 作曲: DAVIS MILES

Serpent's Tooth - 楽譜サンプル
Serpent's Tooth|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Serpent's Toothは、マイルス・デイヴィス(作曲表記: DAVIS MILES)によるインストゥルメンタル曲。初出の録音は1953年のPrestigeセッションで、チャーリー・パーカー(テナー、“Charlie Chan”名義)とソニー・ロリンズが参加し、後年『Collectors' Items』に収録された。歌詞は存在せず、作詞者は情報不明。ジャズ・スタンダードとして演奏機会が多く、学習・実演双方の現場で取り上げられている。
音楽的特徴と演奏スタイル
ビバップの語法に根差した鋭いメロディラインと、タイトなユニゾンでのテーマ提示が印象的。中速〜速めで演奏されることが多く、アドリブでは密度の高いコード進行への対応、明瞭なアーティキュレーション、リズム・セクションとの推進力の共有が鍵となる。跳躍とクロマチックを交えたフレージングは即興の素材としても応用範囲が広く、トランペットやテナー・サックスの躍動感を引き出す。
歴史的背景
1950年代初頭のニューヨーク・シーンで、バップからハード・バップへ移行する只中に生まれた小品。作曲者のマイルスは新たなサウンドを模索しており、本曲はその探索期のエッセンスを凝縮する。1953年の録音では、世代やスタイルの異なるパーカーとロリンズが同席し、緊張感あるコントラストが記録された。以後、同曲はマイルス初期作を象徴するレパートリーとして位置づけられていく。
有名な演奏・録音
代表的な音源は1953年のPrestige録音(『Collectors' Items』収録)で、別テイクも残されている。以降、コンボ編成で広く取り上げられ、教育用の採譜集やリードシートにも掲載されるなど、学習・実演の双方で定着。特定の映画・ドラマでの使用に関しては情報不明。録音はカルテット〜クインテット規模が中心で、ライブのセッションでも頻繁に選曲される。
現代における評価と影響
Serpent's Toothは、マイルス初期の作曲語彙を知る手掛かりとして重要視される一方、即興練習の題材としても重宝される。テーマの整合、ソロへの受け渡し、終止の処理など、アンサンブル設計の好例として研究対象となり、リズム・セクションのインタープレイを磨く教材としても有効。現在もセッション現場での汎用性が高く、世代を超えて演奏され続けている。
まとめ
Serpent's Toothは、ビバップの骨格を明快に示すマイルス流バップ・チューン。華美な技巧よりもラインの切れ味と合奏の精度で勝負する実演的ナンバーで、難度はありつつも学習価値が高い。1953年録音以降、ジャズ・スタンダードとして確固たる地位を築き、今日もプレイヤーの語彙形成に寄与している。