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There! I’ve Said It Again

  • 作曲: EVANS REDD
#スタンダードジャズ
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There! I’ve Said It Again - 楽譜サンプル

There! I’ve Said It Again|歌詞の意味と歴史

基本情報

「There! I’ve Said It Again」は、アメリカのポップ・バラード。一般には作詞レッド・エヴァンス、作曲デヴィッド・マンの共作として知られ、初出は1941年。温かなストリングスと穏やかなテンポ、朗々とした歌唱が映える“クローナー”時代の様式を踏襲し、後年まで多くの歌手に歌い継がれてきた。なかでも1963年のボビー・ヴィントン版は特に著名で、翌1964年にビルボード・Hot 100で首位を獲得したことで広く記憶されている。

歌詞のテーマと意味

タイトルの「There! I’ve Said It Again(ほら、また言ってしまった)」が示す通り、抑えきれない愛の告白を率直に口にしてしまう主人公の心情が主題。恥じらいと誠実さが同居し、繰り返し愛を伝える行為そのものが、揺るぎない思いの強さを象徴する。過剰なドラマ性よりも、丁寧な言葉選びと柔らかなメロディに重きを置く構成で、聴き手に安心感と懐かしさを与える。恋愛における弱さを肯定し、正直であることの尊さを静かに讃える内容だ。

歴史的背景

発表は第二次世界大戦期にあたり、ビッグバンドと歌手が共演するポピュラー音楽の黄金期と重なる。抒情性を前面に出したこのバラードは、戦時下・戦後の慰撫的な娯楽としても受け入れられた。1960年代初頭にはオーケストレーションの豊潤さと端正なボーカルを前景化した解釈が主流となり、ボビー・ヴィントン版がその代表例。彼の録音は1964年、ビートルズの「抱きしめたい」が首位を奪う直前に全米1位となり、プレ・ブリティッシュ・インヴェイジョン期を象徴するヒットとして語られる。

有名な演奏・映画での使用

代表的録音としては、1940年代のヴォーン・モンローによるカバー、そして1963年リリースのボビー・ヴィントン版がよく知られる。ヴィントン版は、滑らかなビブラートと豊かなストリングスが楽曲の告白性を強調し、決定的なスタンダード化に寄与した。ほかの主要アーティストによる広範な録音情報はあるが、個別のチャート成績や媒体露出の詳細は情報不明。映画・ドラマでの顕著な使用に関しても情報不明である。

現代における評価と影響

本曲は、戦前後のポップ・バラードから60年代前半のクロスオーバー期へと至る流れを理解する手がかりとして参照されることが多い。ストリーミング時代にはオールディーズ系プレイリストで再発見され、結婚式や記念日のBGMとしても一定の支持を得ている。歌唱表現の手本として、フレージングやブレス運びの教材に取り上げられることもあり、穏やかな情感を保ちながら説得力を伝えるボーカル・スタイルの典型例とされる。

まとめ

「There! I’ve Said It Again」は、率直な愛の告白を端正なメロディに乗せた普遍的なポップ・バラード。1941年の誕生から、ボビー・ヴィントン版の全米1位を経て、今なお古典として息づく。派手さよりも誠実さで聴かせる一曲として、時代を超えて愛され続けている。