Where is Your Heart (The Song From Moulin Rouge)
Moulin Rouge
- 作曲: AURIC GEORGES ABEL LOUIS

Where is Your Heart (The Song From Moulin Rouge) - 楽譜サンプル
Where is Your Heart (The Song From Moulin Rouge) |歌詞の意味と歴史
基本情報
1952年公開の映画『ムーラン・ルージュ』の主題歌として、フランスの作曲家ジョルジュ・オーリックが書いたテーマに、英語詞家ウィリアム・エングヴィックが歌詞を付けた楽曲。英題は“The Song from Moulin Rouge (Where Is Your Heart)”。しっとりとしたワルツ風のバラードで、映画音楽として生まれながら、独立したポピュラー・ソングとして世界中で広く親しまれている。
歌詞のテーマと意味
歌詞の中心は「心はどこにあるのか」という切実な問いかけ。愛の喪失や距離、すれ違いの痛みを、静かな語り口で描く。舞台となるパリのムーラン・ルージュの耽美的な空気感を背景に、恋人への思慕と内省が交錯し、聴き手に普遍的な共感を呼び起こす。直接的な叙述よりも、余白と比喩で感情を浮かび上がらせる書法が特徴で、メロディの上昇と下降が心の揺らぎを象徴的に支える。
歴史的背景
映画『ムーラン・ルージュ』は画家トゥールーズ=ロートレックを題材にした作品で、監督はジョン・ヒューストン。オーリックはフランス前衛音楽の「六人組」に属した作曲家で、映画音楽でも高い評価を得た。本曲は公開と前後してレコード化され、映画界とポピュラー音楽界の橋渡しを担う存在となった。1950年代前半のバラード黄金期にあって、その洗練と哀愁が国際的な支持を集めた。
有名な演奏・映画での使用
もっとも広く知られるのは、パーシー・フェイス楽団による録音(ボーカル:フェリシア・サンダースをフィーチャー)で、米国のヒット・チャートで首位を獲得。ストリングス主体のアレンジが楽曲の叙情を引き立て、スタンダード化に大きく貢献した。加えて、マントヴァーニ楽団など多くの楽団・歌手が取り上げ、インストゥルメンタルからボーカルまで多様な形で普及した。映画内では主題歌として物語の哀感を象徴的に支える。
現代における評価と影響
本曲は、映画由来のメロディがポピュラー・ソングとして確立される典型例として引用されることが多い。弦楽主体のアレンジと穏やかなテンポは、ポップスとライト・クラシカルの境界を滑らかに横断し、その後の映画発ポップ・バラードの手本となった。現在もオーケストラのポップス・プログラムや、往年の名曲を集めたコンサート、レコーディングで頻繁に採り上げられている。
まとめ
Where is Your Heartは、映画の情景と普遍的な恋愛感情を結び付けた名バラードである。ジョルジュ・オーリックの旋律にウィリアム・エングヴィックの言葉が重なり、時代を超えて歌い継がれる存在となった。映画音楽とポピュラーの親和性を示す代表作として、今なお新たなリスナーを惹きつけ続けている。