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Slow Hot Wind

  • 作曲: MANCINI HENRY NICOLA
#洋楽ポップス#ムードミュージック#映画音楽
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Slow Hot Wind - 楽譜サンプル

Slow Hot Wind|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Slow Hot Windは、ヘンリー・マンシーニ(Henry Mancini、本名MANCINI HENRY NICOLA)が書いたインストゥルメンタル曲「Lujon」に、のちにノーマン・ギンベルが歌詞を付けて世に広まった楽曲です。初出は1961年、マンシーニのアルバム『Mr. Lucky Goes Latin』に収録された「Lujon」。そのムード感あふれるサウンドが支持され、歌詞付きタイトル「Slow Hot Wind」としても多くの演奏家に取り上げられ、現在はジャズ/ラウンジの定番曲として親しまれています。曲名表記は「Slow Hot Wind(Lujon)」と併記されることもあります。

音楽的特徴と演奏スタイル

低速のテンポに乗せ、官能的で滑らかなメロディが静かに進行するのが最大の特徴。ハーモニーは短調系の落ち着いた色彩を基調とし、持続するベースや柔らかなパーカッション、弦やヴィブラフォンなどの響きが作る“冷たい光沢と温かい空気感”の対比が魅力です。インスト版ではサックスやフリューゲルホルンが息の長いレガートで旋律を歌い、ヴォーカル版では言葉数を抑えたフレージングとブレスの間合いが重要。ダイナミクスを控えめに、遅めのボサノヴァ/ラテン・フィールを滲ませる演奏が好まれます。

歴史的背景

1960年代初頭は、映画・テレビ音楽の第一人者として頭角を現したマンシーニが、ラテンの香りを取り入れた洗練のサウンドで人気を博した時期。『Mr. Lucky Goes Latin』(1961年)に収録された「Lujon」は、テレビ由来の作品群と同時代の美学を共有しつつも、純音楽的な魅力で独立した存在感を獲得しました。後年、ノーマン・ギンベルの歌詞が付与され「Slow Hot Wind」としてヴォーカル・レパートリーに加わり、クラブやラジオでも息長く親しまれるようになります。

有名な演奏・録音

基準となるのはマンシーニ本人の「Lujon」(1961年)。これによりテンポ感と音色設計のモデルが確立しました。以後、歌詞付きの「Slow Hot Wind」は多数のジャズ・シンガーや器楽奏者に取り上げられ、多彩な編成で録音が残っています。個別の代表録音の網羅は情報不明ですが、インストゥルメンタルとヴォーカルの双方で定番化している点は確かです。また「Lujon」は映像作品でも用いられ、映画『ビッグ・リボウスキ』や『セクシー・ビースト』での使用が知られ、曲の知名度をさらに押し上げました。

現代における評価と影響

Slow Hot Wind(Lujon)は、ラウンジ/エキゾチカ/ジャズの境界を横断する名曲として、プレイリストやラジオ番組、映像音楽の選曲で現在も高い人気を維持。作曲の巧みさ、アレンジの洗練、そしてヴォーカル版に適した歌詞の親和性が評価され、カバーの自由度も高いことからスタンダードとしての地位を確立しています。静かな情感と都会的な冷たさの同居は、現代のチル~ダウンテンポ文脈にも通じ、世代を超えて再解釈が進んでいます。

まとめ

マンシーニの「Lujon」を起点に、ノーマン・ギンベルの歌詞で「Slow Hot Wind」として広がった本曲は、インストとヴォーカルの両輪で楽しまれる希有なスタンダードです。低速テンポ、陰影あるハーモニー、艶やかな音色の設計が普遍性を生み、録音史と映像文脈の双方で存在感を放ち続けています。