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Sometimes I'm Happy
- 作曲: YOUMANS VINCENT

Sometimes I'm Happy - 楽譜サンプル
Sometimes I'm Happy|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Sometimes I'm Happy(別名:Sometimes I'm Happy, Sometimes I'm Blue)は、作曲家ヴィンセント・ユーマンスの代表的ナンバーで、作詞はIrving Caesar。初出はブロードウェイ・ミュージカル『Hit the Deck』とされ、発表年は1927年とされます。32小節のAABA形式をとる、いわゆるティン・パン・アレー系のポピュラー楽曲で、ジャズ界ではスタンダードとして広く演奏されてきました。ヴォーカル曲として知られますが、インストゥルメンタルでも頻繁に取り上げられ、セッションの定番として定着しています。
音楽的特徴と演奏スタイル
親しみやすい旋律線と明快な機能和声が特徴で、Aセクションは素直なダイアトニック進行に乗るメロディ、Bセクション(ブリッジ)は循環的な和声運動でコントラストを作ります。ii–V–Iの連鎖やセカンダリー・ドミナントが多用され、プレイヤーはトライトーン・サブやディミニッシュのパッシングを加えてリハーモナイズするのが一般的。テンポはミディアム・スウィングからアップテンポまで幅広く、ヴォーカルでは柔らかなレガート、インストではビバップ的ラインでのアドリブが映えます。キーは演奏者により可変(情報不明)。
歴史的背景
1920年代後半、ブロードウェイとティン・パン・アレーの楽曲はダンス音楽と密接に結びつき、スウィング期に向けてジャズ・レパートリーの母体となりました。『Hit the Deck』からは“Hallelujah”なども生まれ、ユーマンスは“Tea for Two”などで知られる時代の人気作曲家として評価を確立。本曲も楽譜流通と録音の普及により、劇場の枠を越えてダンスホール、ラジオ、クラブへと広がり、ほどなくジャズ・ミュージシャンの共通言語となりました。
有名な演奏・録音
歴代の名手が多数録音。代表例として、ベニー・グッドマン楽団、ビリー・ホリデイ(伴奏テディ・ウィルソン楽団)、エラ・フィッツジェラルド、ナット・キング・コール・トリオ、アート・テイタム、バド・パウエルなどが挙げられます。各録音の年やアルバム詳細は情報不明ですが、スウィング期からビバップ以降まで幅広い時代で取り上げられ、編成もビッグバンド、ピアノ・トリオ、歌伴と多彩です。
現代における評価と影響
現在もジャズ教育の現場やセッションで広く扱われ、アドリブ練習に適した和声構造と覚えやすい旋律で人気が高い曲です。歌詞は恋の機微を端的に描き、タイトル通りの気分の揺らぎが普遍性を持って響くため、ヴォーカル・レパートリーとしても重宝されています。多くのスタンダード曲集に収載され、世代やスタイルを超えて演奏解釈が更新され続けています。
まとめ
Sometimes I'm Happyは、ブロードウェイ発のメロディアスな名曲がジャズの言語へと定着した好例です。AABAの明快な構造と柔軟なリハーモナイズの余地により、ヴォーカルでもインストでも魅力を発揮。歴史的背景から現代のセッション現場まで息長く愛される、実用性と音楽的豊かさを兼ね備えたスタンダードといえるでしょう。