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Speak Like A Child

  • 作曲: HANCOCK HERBIE
#スタンダードジャズ
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Speak Like A Child - 楽譜サンプル

Speak Like A Child|楽曲の特徴と歴史

基本情報

1968年、Blue Noteから発表されたハービー・ハンコックのアルバム『Speak Like A Child』の表題曲。作曲はHANCOCK HERBIE。編成はピアノ(ハンコック)、ベース(ロン・カーター)、ドラムス(ミッキー・ローカー)に、フリューゲルホーン(サド・ジョーンズ)、バストロンボーン(ピーター・フィリップス)、アルトフルート(ジェリー・ドジオン)を加えた小編成。インストゥルメンタルで、歌詞は存在しない。

音楽的特徴と演奏スタイル

柔らかな金管とアルトフルートを重ねた独特のブレンドが最大の個性。ホーンはソロよりもメロディと和声の色彩付けに回り、ピアノ・トリオの推進力を包み込む。和声はモーダル志向と豊かなテンションの併用で、内省的ながらも明るい陰影を描く。ダイナミクスは抑制的で、フレーズの間合いが余韻を生み、都市的で詩的なムードを形成する。

歴史的背景

発表年の1968年は、ハンコックがマイルス・デイヴィスの第二期クインテット在籍期の終盤にあたり、アコースティック期の総決算的作品群を残した時期でもある。ポスト・バップ以降の語法に室内楽的な配色を融合し、後年の電化路線へ進む前段として編曲志向を鮮明にした点で重要。Blue Note最終期の芸術的到達の一例としても位置づけられる。

有名な演奏・録音

基準となる録音はオリジナル・アルバム収録テイクで、エンジニアはルディ・ヴァン・ゲルダー、録音場所はヴァン・ゲルダー・スタジオ(ニュージャージー)。このテイクの音響は、温かい中域を強調し、編成の狙いを明瞭に伝える。代表的な他演奏や映画での使用については情報不明。入手はCD、配信ともに容易で、現在も広く聴かれている。

現代における評価と影響

本曲の管楽器配列と和声設計は、小編成にオーケストラ的な色彩を与える手法の好例として評価される。ジャズ・ピアニストにとっては、左手のボイシングと右手のメロディ運びの関係性を学ぶ教材的価値も高い。ハンコックの作曲家としての側面を示す代表例として、批評家・リスナー双方から継続的に支持を集めている。

まとめ

Speak Like A Childは、シンプルな素材を豊かな音色設計で拡張したインストゥルメンタル作品であり、1960年代後期のハンコックの美学を端的に伝える一曲だ。温度感のあるサウンド、洗練された和声、抑制された語り口が織り成す時間の流れは、初聴から反復視聴まで耐える強度を備える。作曲・編曲両面の魅力が凝縮された名品である。