Alcoholic Blues
- 作曲: VON TILZER ALBERT

Alcoholic Blues - 楽譜サンプル
Alcoholic Blues|歌詞の意味と歴史
基本情報
「Alcoholic Blues」は、アルバート・フォン・ティルザー作曲、エドワード・ラスカ作詞による1919年のポピュラー・ソング。ティン・パン・アレーで広まり、ヴォードヴィルで頻繁に歌われた。初期録音ではビリー・マリーの吹込みがよく知られ、複数レーベルからSP盤が流通。現在は復刻盤やデジタルアーカイブで聴取でき、当時の楽譜も資料として残る。
歌詞のテーマと意味
禁酒法を目前に、酒を失う嘆きをユーモラスに綴るノヴェルティ・ソング。主人公はウイスキーやジンなど馴染みの酒を列挙し、禁酒令への不満とやるせなさをこぼす。自虐的なぼやきと軽快なリズムの対比が聴きどころで、酒場文化が日常と密接だった当時の空気を映す。歌詞全文の掲載は行わない。
歴史的背景
1919年、憲法修正第18条が成立し、1920年から全国禁酒法が施行。音楽界では酒を巡る風刺・抵抗の歌が相次ぎ、「Alcoholic Blues」はその代表格とされた。タイトルに“Blues”を掲げつつ形式は流行歌のカップルソングに近く、当時“ブルース”が広義の憂鬱や愚痴を指す語として消費された事例でもある。
有名な演奏・映画での使用
普及に寄与したのはビリー・マリーの録音で、その後も複数の歌手やダンスバンドが取り上げた記録が残る。歴史音源の復刻やオンラインアーカイブで聴ける音源も多い。一方、特定の映画やドラマでの顕著な使用例は情報不明。舞台ではヴォードヴィルやキャバレーの定番に数えられた。
現代における評価と影響
禁酒法時代の社会風俗を伝える資料歌として研究者やコレクターに重んじられる。12小節の定型的ブルースではない点も注目され、初期ポピュラー音楽における“ブルース”概念の変遷を示す曲として講義や特集で参照される。レトロ志向の企画やテーマ別プレイリストでも再評価が進む。
まとめ
禁酒法という歴史的転換点を背景に生まれたノヴェルティ・ソング。ティルザーの覚えやすい旋律とラスカの時事性ある詞が結びつき、笑いの裏に社会の緊張を刻む。100年後の現在も、文化史・歌詞研究の観点から聴く価値が高い一曲だ。