Alice Blue Gown
- 作曲: TIERNEY HARRY,MC CARTHY JOSEPH

Alice Blue Gown - 楽譜サンプル
Alice Blue Gown|歌詞の意味と歴史
基本情報
Alice Blue Gownは、作曲ハリー・ティアニー、作詞ジョセフ・マッカーシーによる楽曲で、1919年初演のブロードウェイ・ミュージカル『Irene』の中核ナンバーとして知られる。タイトルの“アリス・ブルー”は、米大統領セオドア・ルーズベルトの娘アリス・ルーズベルトが好んだとされる淡い青色の名称に由来し、当時の流行語的存在だった。楽曲はショー・チューンとして親しみやすい旋律と明快な構成を持ち、舞台上での独唱曲として観客の記憶に残る設計になっている。
歌詞のテーマと意味
歌詞は、淡く上品な“アリス・ブルー”のドレスに寄せる愛着と、その服を身にまとうことで得られる自信や高揚感を描く。ドレスは単なる衣装ではなく、若さ、洗練、社交界への憧れといった象徴として機能し、装いが自己を変容させるというテーマが軸にある。恋や街歩きの期待感、心が弾む感覚が軽快なメロディと結びつき、聴き手に甘やかなノスタルジーを喚起する。なお歌詞の全文はここでは扱わない。
歴史的背景
“アリス・ブルー”は20世紀初頭に米国で広く流行した色名で、ファッション産業とメディアの相互作用が生んだ文化現象だった。第一次世界大戦後の1919年という時代、ブロードウェイは軽やかで夢のあるエンターテインメントを求められ、本曲はその空気に合致してヒット。『Irene』は庶民的なヒロイン像とモードの世界を結びつけ、観客に明るい未来像を提示した。その中でAlice Blue Gownは、色名ブームと舞台の物語性を巧みに結びつけた象徴曲として機能した。
有名な演奏・映画での使用
本曲は『Irene』の初演・再演で繰り返し歌われ、ブロードウェイの古典曲として多くの歌手やダンス・バンドのレパートリーに入った。ショー・チューンとしての性格上、コンサート版やキャバレー、レトロ編成のポップス・オーケストラでも取り上げられている。映画での顕著な使用に関する詳細は情報不明。舞台録音・スタジオ録音ともに数多くのカバーが存在するが、代表的ディスコグラフィーの網羅はここでは行わない。
現代における評価と影響
現在も“アリス・ブルー”という色名の知名度とともに、20世紀初頭のファッションと音楽の接点を示す教材的楽曲として評価される。ボーカル指導やミュージカルのオーディション曲として扱われる例もあり、上品なメロディと明瞭な言葉運びは、時代を超えて再演しやすい。ジャズの即興性を前面に出す曲ではないが、ショー・チューン文脈からのクロスオーバーも見られ、アメリカン・ポピュラー音楽の歴史を辿る上で欠かせない存在となっている。
まとめ
Alice Blue Gownは、色名ブームとブロードウェイ文化が交差した1919年の象徴的ショー・チューンである。淡い青のドレスがもたらす自己肯定と夢見心地を、端正なメロディに託して描き、今日まで舞台や録音で親しまれてきた。出自や歌詞テーマが明確なため、音楽史・ファッション史双方の観点からも参照価値が高い一曲と言える。