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Street Of Dreams
- 作曲: YOUNG VICTOR POPULAR

Street Of Dreams - 楽譜サンプル
Street Of Dreams|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「Street Of Dreams」は、Victor Young作曲(提供表記:YOUNG VICTOR POPULAR)、Sam M. Lewis作詞による1932年のポピュラー・ソングで、その後ジャズ・スタンダード化した。一般に32小節AABA形式で演奏され、ボーカル曲としても器楽曲としても親しまれている。歌詞全文の掲載は控えるが、静かなロマンティシズムを湛えた表現が特徴だ。
音楽的特徴と演奏スタイル
旋律は階段状の進行と柔らかな跳躍を織り交ぜ、タイトル通り夢見心地のムードを作る。和声はセカンダリ・ドミナントや半音階的進行が鍵で、内声の動きが美しい。テンポはバラードからミディアム・スウィングまで幅広く、歌では自由なルバート序奏→スウィング本編という構成も定番だ。器楽ではテナーサックスやギターが抒情的フレージングを担う例が多い。
歴史的背景
発表はアメリカのダンス・バンド文化が最盛期へ向かう1930年代初頭。ラジオ放送と楽譜出版の普及に支えられ、多数のバンドのレパートリーに定着した。作曲者Victor Youngは後年ハリウッドでも活躍するが、本曲はその初期代表作として愛奏され、いわゆるアメリカン・ソングブックを彩る重要曲の一つとして位置づけられている。
有名な演奏・録音
代表的録音として、Tommy Dorsey楽団による1942年の盤(ヴォーカル:Frank Sinatra)は古典的名演として知られる。器楽では、Grant Greenのアルバム『Street of Dreams』(Blue Note, 1964)がタイトル曲として取り上げ、オルガン・カルテット編成で夢幻的なグルーヴを提示した。他にも多くの歌手・奏者が取り上げており、編成やテンポの自由度の高さが再演性を支えている。
現代における評価と影響
現在もジャズ教育やセッションの教材曲として頻出し、抒情的なバラード選曲の定番となっている。歌詞の主題は夢と恋情に関わるが、解釈の幅が広く、歌手は語り口やテンポ設計で個性を出しやすい。楽器奏者にとっては音価の置き方、内声処理、ダイナミクスのコントロールが表現の肝となり、アレンジ面でもビッグバンドから小編成まで適応する柔軟さが評価される。
まとめ
シンプルな32小節形式に豊かな情感を宿した「Street Of Dreams」は、時代を超えて演奏され続ける一曲である。ボーカル、コンボ、ビッグバンドのいずれにもなじみ、入門者にはスタンダード語法の学習曲として、上級者には音色と間合いの探究素材として魅力が尽きない。名演を参照しつつ、自身の語り口でこの“夢の街”を描きたい。