Back Home Again In Indiana
- 作曲: HANLEY JAMES F

Back Home Again In Indiana - 楽譜サンプル
Back Home Again In Indiana|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「Back Home Again In Indiana」は1917年に発表されたアメリカのポピュラー・ソング。作曲はJames F. Hanley、作詞はBallard MacDonald。通称「Indiana」として親しまれ、のちにジャズ・シーンで定番化した。歌詞は故郷インディアナへの郷愁と自然のイメージを描き、歌唱版と器楽版の双方で広く演奏され続けている。出版会社や初演の詳細は情報不明だが、ティン・パン・アレー期の代表的ナンバーとして知られる。
音楽的特徴と演奏スタイル
明るいメジャー調と快活なテンポが定番で、古典的な機能和声に基づく堅固なコード進行が即興の土台を提供する。循環的なコード運びや副次ドミナントが多用され、トライトーン置換や経過和音を加えたリハーモナイズもよく行われる。ディキシーの2ビートからスウィング、さらには高速ビバップまで幅広い解釈が可能で、テーマの素朴さとソロの妙技が対照的に映えるのが魅力だ。
歴史的背景
第一次世界大戦期のアメリカで広まった本曲は、発売当初から人気を博し、ダンス・ミュージックと初期ジャズの両文化圏で受容された。録音初出の具体的年代・演者は情報不明だが、ニューオーリンズ〜シカゴ系のバンドや東海岸のダンス楽団により急速にレパートリー化。故郷回帰の情感は時代を超えて共感を呼び、地域アイデンティティとも結びついていく。
有名な演奏・録音
ルイ・アームストロングをはじめ、数多のジャズ・ジャイアンツが録音・演奏を残しており、スウィングからモダンに至るまで名演は枚挙に暇がない。とりわけアップテンポでの技巧的なインプロヴィゼーションはショーケースとして定評がある。また、ビバップを象徴する名曲「Donna Lee」は本曲のコード進行を基にしたコントラファクトとして広く知られ、後続世代の作曲・即興語彙を拡張した。映画やテレビでの体系的な使用記録は情報不明。
現代における評価と影響
現在も世界のジャム・セッションで頻出し、音楽教育では和声分析やアドリブ練習の題材として定番視される。地域文化との結びつきも強く、インディアナポリス500ではレース前セレモニーで歌唱される伝統が続くなど、ポピュラー文化とジャズ史の橋渡し的存在だ。コード進行の汎用性は高く、再解釈やリハーモナイズの余地が大きいことから、世代を超えて演奏家の創造性を刺激し続けている。
まとめ
1917年生まれの「Indiana」は、郷愁を湛えた歌の魅力と、ジャズ即興の格好の器という二面性を併せ持つ。名演の蓄積、教育的価値、そして地域行事との強い結びつきが、その生命力を支えてきた。シンプルな主題と柔軟な和声設計により、今なお現場で息づく“生きたスタンダード”として愛奏され続けている。