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Livery Stable Blues (Barnyard Blues)

  • 作曲: NUNEZ ALCIDES,LOPEZ RAY
#ジプシージャズ#スタンダードジャズ
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Livery Stable Blues (Barnyard Blues) - 楽譜サンプル

Livery Stable Blues (Barnyard Blues)|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Livery Stable Blues (Barnyard Blues) は、作曲者にNUNEZ ALCIDESとLOPEZ RAYがクレジットされた初期ジャズの器楽曲。1917年にOriginal Dixieland Jass Band(ODJB)が録音し、しばしば「商業的に発売された最初期のジャズ録音」として言及される。別名のBarnyard Bluesは家畜小屋を意味し、後述の動物模倣効果を示唆。歌詞は存在せず、演奏主体のレパートリーとして受け継がれてきた。

音楽的特徴と演奏スタイル

小編成コンボによる集団即興が核。コルネット、クラリネット、トロンボーン、ピアノ、ドラムといった編成で、主旋律と対旋律が絡む三声的アンサンブルが際立つ。スライドやグロウル、プランジャー・ミュート、グリッサンドなど擬音的奏法を駆使し、馬のいななきや鶏の鳴き声を模したフレーズで題名の情景をユーモラスに描写。活発なダンス志向のテンポ感、ブレイクの切れ味、合奏の推進力が聴きどころである。

歴史的背景

1917年、米VictorレーベルによりODJBの録音が広く流通し、ジャズという語とサウンドを全米に浸透させる契機となった。ニューオーリンズの街頭・ダンスホール文化で育まれた演奏慣習が、初めて本格的にレコードへ定着した象徴的事例とされる。著作権クレジットや作者帰属をめぐる争いが記録されているが、資料によって見解が分かれる点もあり詳細は情報不明としておく。

有名な演奏・録音

代表的音源はODJBの1917年録音で、歴史的資料として頻繁に再発・編纂盤へ収録される。その後もトラディショナル系ディキシーランド・バンドがレパートリーに取り上げ、動物模倣のギミックを各楽器が工夫して披露するのが定番化した。特定の映画やテレビでの顕著な使用例は情報不明だが、初期ジャズを紹介する教育・ドキュメンタリー文脈で参照されることが多い。

現代における評価と影響

本作は、モダン以降とは異なる「集団即興」「前拍推進のダンス・フィール」「ノヴェルティ的サウンドデザイン」を学ぶ教材として価値が高い。奇抜さに終始せず、コルネットの主旋律、クラリネットの装飾、トロンボーンのテイルゲート奏法が織りなすポリフォニーがニューオーリンズ・ジャズの骨格を示す点も評価される。録音産業におけるジャズ普及の出発点として、歴史教育・演奏実践の双方で参照され続けている。

まとめ

Barnyardの名に違わぬ動物模倣と、初期ジャズの合奏美が結晶した一曲。ODJBの1917年録音を軸に、伝統的スタイルの語法と録音史的意義を併せ持つ定番として位置付けられる。今なお、初期ジャズのエッセンスを体感できる重要レパートリーだ。