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Bluin' the Blues

  • 作曲: RAGAS HENRY W
#スタンダードジャズ#ジプシージャズ
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Bluin' the Blues - 楽譜サンプル

Bluin' the Blues|楽曲の特徴と歴史

基本情報

『Bluin' the Blues』は、ヘンリー・W・ラガス(RAGAS HENRY W)作曲の器楽曲。歌詞は存在せず、ブルース語法を軸にした初期ジャズのナンバーとして知られる。初演年や初出盤の詳細は情報不明だが、原曲はニューオーリンズ由来のアンサンブルを想定した舞曲的性格をもち、当時のダンス文化と結びついた実用性の高い楽曲設計がうかがえる。

音楽的特徴と演奏スタイル

2ビートの躍動感とラグタイム由来のシンコペーションが核。コルネット、クラリネット、トロンボーンの三管がポリフォニックに絡み、ピアノはストライド気味の分散和音で推進力を補強する。ブルース感のある反復進行上でコーラスごとにコール&レスポンスやブレイクが配置され、ダンス向けの軽快さと即興性が両立。旋律は覚えやすく、アンサンブルのバランスとスウィング感が表現の要となる。

歴史的背景

1910年代末の録音ブームでジャズが全米に拡散した文脈に位置づく。ラガスはオリジナル・ディキシーランド・ジャズ・バンド(ODJB)のピアニストとして知られ、早逝(1919年)ながら初期ジャズの記念碑的レパートリー形成に寄与した。本作もその系譜にあると見られるが、成立時期や発表媒体の正確な史料は情報不明。ニューオーリンズからダンスホールへ広がる過程で、集団即興を核とする演奏様式の普及に貢献した。

有名な演奏・録音

代表的な演奏としてODJBによる録音が広く言及されるが、具体的な録音年・レーベル・マトリクス番号は情報不明。ほかにもトラディショナル系のダンス・バンドや、クラリネット主導の小編成による再演が複数存在するとされるが、詳細なディスコグラフィーは情報不明。いずれもアップテンポ寄りの2ビートと三管の掛け合いを活かし、短いブレイクやエンディングのフェルマータなど、シンプルな効果で魅力を引き出している。

現代における評価と影響

今日ではトラッド/ディキシーランド系のレパートリーとして、フェスや教育現場のアンサンブル課題曲に選ばれることがある。技巧を競うタイプではなく、アンサンブルの呼吸とスイング感の共有を学ぶ教材として価値が高い。初期ジャズのサウンド・アイコンを凝縮しており、レパートリー拡充や時代考証の文脈で取り上げられることが多い。映画やテレビでの顕著な使用例は情報不明。

まとめ

『Bluin' the Blues』は、歌詞を持たない初期ジャズの器楽曲で、ブルース語法と集団即興の醍醐味をコンパクトに示す。成立や初出の詳細は情報不明ながら、ラガスの名を通してディキシーランド期の美学を今に伝える一曲として、研究と実演の双方で参照され続けている。シンプルな素材をアンサンブルでどこまで音楽化できるか—その問いに応える格好のレパートリーである。