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Cakewalkin' Babies

  • 作曲: SMITH CHRIS,WILLIAMS CLARENCE
#スタンダードジャズ
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Cakewalkin' Babies - 楽譜サンプル

Cakewalkin' Babies|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Cakewalkin' Babiesは、クラレンス・ウィリアムズとクリス・スミスによる初期ジャズ曲。別名「Cake Walkin' Babies (From Home)」としても知られ、ニューオーリンズ〜ディキシーランド系のレパートリーで頻繁に取り上げられる。公開年は情報不明だが、成立は1920年代前半の文脈に位置づけられる。歌詞付きで歌われることも多いが、作詞者や歌詞の詳細は情報不明。管楽器のホットな掛け合いと、初期スウィングへの過渡期を示すスタイルが魅力の楽曲である。

音楽的特徴と演奏スタイル

テンポは中速〜速めで、ケークウォーク由来の軽快な二拍フィールを感じさせる。前半はアンサンブルによるテーマ提示、以降はコルネット(またはトランペット)、ソプラノサックス/クラリネット、トロンボーンなどが順にソロを回し、要所にブレイクやコール&レスポンスを挟むのが定石。いわゆるコレクティブ・インプロヴィゼーション(同時即興)の比重が高く、フロントラインの火花散る応酬が聴きどころ。リズムセクションはピアノやバンジョー、チューバ(またはベース)、ドラムが支え、二拍の推進力で全体を牽引する。ヴォーカル版ではコーラス間に器楽ソロが挿入され、歌とホーンの対比が映える。

歴史的背景

タイトルが示すケークウォークは19世紀末のアフリカ系アメリカ人コミュニティで発展したダンスで、ラグタイムとも親和性が高い。本曲はその遺産を引き継ぎつつ、より熱量の高い“ホット・ジャズ”へと向かう時期の表現を体現する。音楽出版社・バンドリーダーとしても知られるクラレンス・ウィリアムズが関わっている点は、当時のニューヨークやニューオーリンズ系ミュージシャンのネットワークを想起させ、ショー音楽〜ジャズの橋渡し的役割を示している。

有名な演奏・録音

1924年のRed Onion Jazz Babiesによる録音(ルイ・アームストロング、シドニー・ベシェ参加)が特に名高く、ソプラノサックスとコルネットの緊張感あるバトルは本曲の代名詞的名場面として語られる。1925年のベッシー・スミスによる録音(コルネットにルイ・アームストロング参加)も定番で、ヴォーカル版の決定的解釈として評価が高い。以後、シドニー・ベシェの各種セッションやトラディショナル・ジャズ系バンドにより繰り返し再演され、レパートリーとして定着した。

現代における評価と影響

Cakewalkin' Babiesは、初期ジャズのアンサンブル美学とソロ・インタープレイの醍醐味を凝縮した教材的価値を持ち、トラッド系ジャズ・フェスやジャムでの人気も根強い。ホーン同士の応酬、ブレイクのキメ、二拍フィールの推進力など、初期様式の核を体験的に学べるため、若手のスタイル研究にも好適である。録音資産が豊富なため、時代や編成による表現の違いを聴き比べできる点も評価を後押ししている。

まとめ

ケークウォークの軽妙さとホット・ジャズの熱気を併せ持つ本曲は、初期ジャズの精髄を知るうえで格好の入り口だ。名演に触れれば、集団即興と個人技のバランス、そしてダンス音楽としての躍動感が明快に伝わる。歌詞情報は情報不明だが、器楽的にも十分な魅力を放ち、歴史的文脈と演奏上の学びを両立させたスタンダードとして今なお輝きを失わない。