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Surrey With The Fringe On Top, The (飾りのついた四輪馬車)

  • 作曲: RODGERS RICHARD
#洋楽ポップス#映画音楽
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Surrey With The Fringe On Top, The (飾りのついた四輪馬車) - 楽譜サンプル

Surrey With The Fringe On Top, The (飾りのついた四輪馬車)|楽曲の特徴と歴史

基本情報

『飾りのついた四輪馬車(The Surrey with the Fringe on Top)』は、作曲リチャード・ロジャース、作詞オスカー・ハマースタインⅡによる1943年のブロードウェイ・ミュージカル『オクラホマ!』の一曲。牧歌的で洒落た馬車の情景を歌い、のちに多くのジャズ・ミュージシャンが取り上げたことでスタンダード化した。1955年の映画版『オクラホマ!』でも歌われ、舞台・映画・ジャズの三領域を横断して愛されている。

音楽的特徴と演奏スタイル

形式は典型的な32小節のAABA。メロディは明るい長調に基づき、跳躍と順次進行を巧みに交えた歌いやすさが特長だ。ジャズではミディアム〜アップのスウィングで、A部はツーフィール(2ビート)で軽快に、B部や後半で4ビートへ移行して推進力を増すアプローチが定番。和声はセカンダリー・ドミナントやトライトーン・サブなどのリハーモナイズが相性よく、ピアノのブロック・コード、ブラシを多用したドラム、ウォーキング・ベースとの相互作用で立体感が生まれる。

歴史的背景

物語ではカウボーイのカーリーが、飾り房のついた上等なサリー(四輪馬車)でのドライブを朗らかに語り、ラリーの心を惹こうとする場面に使われる。ロジャース&ハマースタインは、歌とドラマを緊密に結び付ける“統合型”ミュージカルを確立したことで知られ、本曲も人物の性格や関係性を自然に浮かび上がらせる。第二次大戦期のブロードウェイにおいて、『オクラホマ!』は革新性と大衆性を両立させた金字塔となった。

有名な演奏・録音

名演としては、マイルス・デイヴィスのクインテットによる1950年代の録音(アルバム『Steamin' with the Miles Davis Quintet』収録)がよく知られる。アーマッド・ジャマルのトリオは『At the Pershing: But Not for Me』(1958)で洗練されたダイナミクスを提示し、以後のピアノ・トリオ解釈に影響を与えた。舞台の初演キャスト録音ではカーリー役のアルフレッド・ドレイク、映画版ではゴードン・マクレーらが歌唱し、原曲の魅力を広く伝えた。

現代における評価と影響

今日でもジャズ・セッションの常備曲として扱われ、ツーフィールから4ビートへの移行、シンコペーションの処理、歌心あるフレージングなど、多面的な学習素材を提供する。ボーカルとインストゥルメンタルの両面で親しまれ、コンサートやクラブのレパートリーにも定着。ミュージカルの再演や録音を通じて新しい世代に届き続けており、アメリカン・ソングブックの豊穣さを象徴する一曲として評価は揺るがない。

まとめ

『飾りのついた四輪馬車』は、舞台由来の親しみやすい旋律と、ジャズが求める即興の余地を兼ね備えた稀有なナンバーである。歴史的背景を踏まえたうえで、テンポ感や和声処理を工夫すれば、自分らしい解釈で長く楽しめるだろう。