Down Among the Sheltering Palm
- 作曲: OLMAN ABE

Down Among the Sheltering Palm - 楽譜サンプル
Down Among the Sheltering Palm|楽曲の特徴と歴史
基本情報
本曲は作曲家Abe Olmanによる1914年のポピュラー・ソング。作詞はJames BrockmanとSam M. Lewis。原題は英語で、別表記“Down Among the Sheltering Palms”も見られる。のちにジャズ/スウィングの定番として歌い継がれ、歌詞付きのスタンダードとして幅広い世代に親しまれてきた。
音楽的特徴と演奏スタイル
穏やかな旋律と軽快なダンス感覚が特徴。テンポはミディアムのフォックストロット〜スウィングで扱われ、滑らかなレガートと適度なシンコペーションが映える。リードとコーラスの掛け合い、クローズ・ハーモニー、ウクレレやスティール・ギターを配したハワイアン風味の編曲など、多様な解釈に適応。ジャズ・コンボではソロ回しやスキャットを挟みやすく、メロディの歌いやすさと即興性を両立できる。
歴史的背景
1910年代のティン・パン・アレー全盛期に生まれ、当時高まりつつあった“南国”イメージへの憧憬をロマンティックに歌った。シート・ミュージックとダンスホール文化の拡大に乗って普及し、ラジオ時代の到来とともにバンド編成でも広く演奏された。初期アメリカ大衆音楽のレパートリー形成に寄与した一曲であり、のちのスウィング期にも自然に接続していく要素を備えている。
有名な演奏・録音
代表例として、1930年代のボズウェル・シスターズ(ドーシー兄弟伴奏による録音が知られる)がしばしば挙げられる。以後もハーモニー・グループやスウィング系ビッグバンドに広く取り上げられ、時代ごとにアレンジが更新されてきた。1953年には同名映画『Down Among the Sheltering Palms』が公開されたが、作中での本曲の扱いの詳細は情報不明。その他の著名録音の網羅的データも情報不明。
現代における評価と影響
現在もトラディショナル/ホット・ジャズの現場やスウィング・ダンスのイベントで演奏され、明朗なメロディと親しみやすい歌詞世界が支持を集める。レコーディングやライヴでは、テンポや編成の自由度が高く、ヴォーカル物としてもインスト間奏を活かす曲としても機能する。教育分野でも、初期ポップからスウィングへの橋渡しを示す教材曲として参照されることがある。
まとめ
南国の情景と恋の高揚を軽やかなリズムに乗せたスタンダード。ティン・パン・アレー由来のポップ感と、即興を受け止めるジャズ的懐の深さを併せ持ち、編成を問わず息長く演奏されている。表記ゆれ“Palms”を含め、19世紀末〜20世紀初頭のアメリカ歌曲の魅力を今に伝える存在だ。