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Farewell Blues

  • 作曲: MARES PAUL JOSEPH,RAPPOLO LEON,SCHOEBEL ELMER
#ジプシージャズ#スタンダードジャズ
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Farewell Blues - 楽譜サンプル

Farewell Blues|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Farewell Blues は、MARES PAUL JOSEPH、RAPPOLO LEON、SCHOEBEL ELMER による共作で、1922年に初出のジャズ・スタンダード。New Orleans Rhythm Kings の演奏で知られ、当初から器楽曲として広まりました。タイトルが示すとおり別れの情感を帯びつつも、形式はオーセンティックな12小節ブルース。作詞者は情報不明で、一般的にはインストゥルメンタルとして扱われる曲です。シンプルなブルース進行ながら、アンサンブルの妙や各ソロイストのフレージングで表情が大きく変わる点が魅力です。

音楽的特徴と演奏スタイル

基本は12小節ブルース進行。初期ニューオーリンズ様式のコレクティブ・インプロビゼーション(同時即興)が映える設計で、テーマは短い動機を対話的に受け渡すのが特徴です。トラッド寄りの演奏では2ビートの躍動感を、スウィング以降は4ビートへ拡張し、ヘッド—ソロ回し—ヘッドの定型でまとめるのが一般的。クラリネットやコルネット(トランペット)、トロンボーンの三管ハーモニーに加え、ピアノやバンジョー/ギターがリズムを支えます。テンポやキーは編成やプレイヤーにより可変で、表現幅が広いのも長く親しまれる理由です。

歴史的背景

1920年代初頭、シカゴを拠点としたNew Orleans Rhythm Kingsは、ニューオーリンズ由来のスタイルを北部へ伝える重要な役割を担いました。Farewell Bluesはそのレパートリーの中でもとりわけ普及度が高く、初期ジャズの記録と普及に寄与した代表曲のひとつです。録音技術が電気式以前の時代でありながら、アンサンブルのバランスとブルースの語法が明快に刻まれ、後続世代の奏者にとって参照軸となりました。出版や発表の詳細経緯の一部は情報不明ですが、1922年の初録音が広まりの端緒となりました。

有名な演奏・録音

最も知られるのはNew Orleans Rhythm Kingsによる1922年の録音です。以後、トラディショナルからスウィング期にかけて多くのバンドや小編成が取り上げ、レパートリーとして定着しました。具体的なアーティスト名や録音年の網羅的リストは情報不明ですが、各時代のスタイルで解釈され、テーマの簡潔さとアドリブの自由度が再演を後押ししてきました。現在もトラッド系のセッションや教育現場の教材として扱われることが多い楽曲です。

現代における評価と影響

Farewell Bluesは、初学者にとってはブルース形式でアンサンブルを学べる格好の素材であり、熟練者にとっては音色やタイム、アーティキュレーションの妙で差を見せられる舞台でもあります。トラッド・ジャズの祭典やクラブ・セッションで定番の一曲として息長く演奏され、ギターやバンジョー編成のアコースティックなセットでもよく映えます。スタイル横断で活用可能な“開かれた”スタンダードとして、今も教育・実演の両面で高く評価されています。

まとめ

1922年生まれのFarewell Bluesは、12小節ブルースの語法とニューオーリンズ系アンサンブルの魅力を凝縮した名曲です。簡潔なテーマと自由度の高い構造により、時代を超えて演奏され続けるスタンダードとなりました。詳細不明点を残しつつも、初期ジャズ史を知る入口として、そして実践的なレパートリーとして、今なお価値を放ち続けています。