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Hot Lips

  • 作曲: BUSSE HENRY,LANGE HENRY W,DAVIS LOU
#ジプシージャズ#スタンダードジャズ
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Hot Lips - 楽譜サンプル

Hot Lips|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Hot Lipsは、トランペッターのヘンリー・ブッセ、ヘンリー・W・ラング、ルー・デイヴィスによる1922年の楽曲。別名「He's Got Hot Lips When He Plays Jazz」としても知られ、ポール・ホワイトマン楽団の録音で広く普及した。初出年は1922、ジャンルは初期ジャズ/ダンス・バンド系に位置づけられる。歌詞も存在するが、トランペットの器楽曲として演奏される機会が多い。

音楽的特徴と演奏スタイル

フォックストロット系のテンポに乗せ、トランペットのホットなブレイクと即興が主役。プランジャー・ミュートやワウ効果、グロウル奏法など、1920年代の“ホット”スタイルを象徴する語法が多用される。バンド全体はシンプルなリフやコール&レスポンスでソリストを引き立て、短いブリッジやターンアラウンドで緊張と解放を作るアレンジが定番だ。メロディは覚えやすく、ショウアップと歌心の両立が可能なレパートリーである。

歴史的背景

第一次大戦後のダンス文化の拡大とともに、白人ダンス・オーケストラがジャズ要素を取り入れた時期に誕生。ポール・ホワイトマン楽団は洗練された編曲で大衆的人気を獲得し、本曲もその重要レパートリーの一つとして知られる。作曲者のブッセは同楽団の看板ソロイストで、鮮烈なトランペット・サウンドが当時の聴衆を魅了。Hot Lipsは、初期ジャズの語法とダンス音楽の娯楽性を橋渡しする存在となった。

有名な演奏・録音

代表的なのは1922年のポール・ホワイトマン楽団による録音で、ブッセの華やかなソロが聴ける。以降、トラッド系コンボやダンス・バンドで取り上げられ、トランペット・フィーチャーの定番として生き残った。出版譜やスクール向けアレンジも流通し、さまざまな編成で再演されている。一方、特定の映画や映像作品での顕著な使用については情報不明。

現代における評価と影響

今日でもニューオーリンズ系やスウィング回帰のステージ、大学・社会人ビッグバンドのショウケースで演奏機会がある。難解な和声進行よりも歌えるメロディと明快なコール&レスポンスが魅力で、初学者の即興教材からベテランのショーアップまで幅広く機能する。1920年代の奏法研究に適し、ミュート・ワークや音色変化の学習曲としての価値も高い。

まとめ

Hot Lipsは、歌詞を持ちながらも器楽的魅力が際立つジャズ・スタンダードであり、1920年代の演奏語法を凝縮した一曲だ。ミュートを駆使したトランペットの表情、踊れるグルーヴ、耳に残る主題は今なお色褪せない。歴史の文脈と実演の楽しさを同時に味わえる入門曲としておすすめできる。